日々是食日 体と心が喜ぶ食の話

ADVERTISING

本物の真髄(電子版)

新しい年に思うこと

2022.01.30

 食コラムとして始まった、このコラム。回を重ねるごとに内容がどんどん食からズレてしまい、とうとうタイトルの「日々是食日」が意味をなさなくなってしまった。そこで今一度、内容とタイトルを見直そうということになった。さて、どうしたものか……。
 
 そもそも、なぜ食コラムを書くことになったのか。
 記憶を辿ると、「食へのこだわりや食感覚が人とはちょっと違うんじゃない?」ということで提案していただいたように思う。始まった当初は「そうかな?」と疑問に思いつつ、幼い頃から食の好みが年寄りくさかったり、お腹が空いたら食べることを基本に1日2食だったり、冷蔵庫にあるもので創作料理をするのが好きだったり、魚の食べ方や調味料などにも多少こだわりがあったりと、それなりに書くこともあるだろうと思い、軽い気持ちで請け負った。

 が、それがいけない。数回書いて気がついた。
「わたしの〝食〟事情なんて、大して特別でもなんでもないじゃないか」と。

 世の中を見渡せば、当然だが上には上がいるし、それこそプロアマ問わず、もっとこだわりを持って食を語る人はごまんといる。
 だから「わたしが語ることなんて何もない」などと、いささか卑屈っぽくもなりながら、我が身のちっぽけさに気づいてしまったというわけだ。(尽力してくださったスタッフのみなさま、本当にごめんなさい、もっと早くに気づくべきでした)
 
 一方で、もっと重要なこと、本質的なことに気がついた。
 わたしはそれほど器用ではない。いや、手先はそこそこ器用なのだ。ただ「生きる」ということにおいては不器用だと思う。社会の常識はあまり知らないし、人間関係を築くのもうまくない。人と同じことはしたくない性分で、天邪鬼の自己チューだから、人様を振り回してしまうことも多分にある。そういう自分にわたし自身が振り回されっぱなしなもんだから、まったく始末に負えないのだが、それこそわたしの書くべきテーマではないかと思い至った。

 

 料理人でもなければ食通でもないわたしが、食だけを切り取って語ることは難しすぎる。
「食べることは生きること」だとしてタイトルを「日々是食日」にしたけれど、わたしにはその後に続く「生きることは、心と体が感じて動くこと」に意味があるのだ。体の声に耳を傾け、その声が伝える心の状態に気づくことや、日々の生活から得た気づきこそ、わたしの最も得意とするもののような気がする。

 つまり〝学び〟である。これまで書いてきたコラムをあらためて読み返しても、それがはっきりわかる。
 
 白状すれば、ここ最近「書く」ことから逃げていた。一丁前にスランプというものに陥ってしまったらしく、文章を書くのが嫌で嫌でたまらなかった。文字すら見たくなかった。本を開くのも億劫だった。好きでも毎日毎食同じものを食べて、その食べ物がもう食べたくも見たくもなくなるというように。とにかく、書くことから遠ざかりたかった。
 でも、曲がりなりにも「もの書き」という看板を背負っている以上、「書けない」では許されない。気持ちを奮い立たせ、とりあえずP Cの前に座るものの、いざ書こうとすると頭が真白になり、しばらくボーッとするか、ソワソワと落ち着かなくなる。気分を入れ替えようと音楽を聞いたり、体操やヨガをしたり、こまごました雑事や家事をやってみたり、散歩したりといろいろ試してみるのだが、そうすればするほど書くことから遠ざかろうとしてしまう。

「これはいつものアレだ」と過去を振り返り、これまで何ひとつ続かなかったパターンを思い出す。

 マズい。このままじゃいけない。ただの趣味なら辞めてしまえばいいが、今は書くことがわたしの仕事なのだ。すでに新しい本の企画も進んでいるし責任がある。なんとかして、書くモードを取り戻さねば。
 
 そんな風に、現在のわたしは弱い自分に打ち勝とうと奮闘の真っ只中にいる。
 それでも一筋の光もちらちらと見え始めてきているから、ちょっと楽しみでもある。

 その光明の話は、また次回に。
 
 さて、これまでのような食コラムはもう終わり。
 次は「学び」と「気づき」をテーマに書いていこうと思う。
 それも堅苦しくない、わたしらしいスタイルで。
 乞うご期待!
 

神谷真理子(本コラム執筆者)公式サイト「ma」

 

●「美しい日本のことば」連載中

 今回は「三つの花」を紹介。

美しいものを花に喩えるのが好きな日本人は、内に篭りがちな寒い冬でも美しい花を愛でたいと思ったのでしょう。凍りつくような寒い朝、大地を覆い尽くすようにキラキラと霜が降り立ちます。この霜が「三つの花」です。続きは……。

 

ADVERTISING

Topics

記事一覧へ
Recommend Contents
このページのトップへ