しのの歌
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しのの歌

四六時中、歌のことを考えているという高校生歌人がつむぎだす言葉のきらめき。
日本人の精神の遺伝子に流れている「短歌マインド」が彼女の歌によって惹起される。

Topics

体育の後の水道の列は、一日で3番目くらいに騒がしい。グラウンドの暑さや授業時間の長さに文句を言いながら、大体はふざけ合って過ごした。順番が回ってくると会話は自然と止まって、皆手だけを見つめて、手を洗うことだけをする。さっきまで騒がしかった一
大好きなアイドルの子がグループを脱退した。誰よりもまっすぐでかっこよくて繊細で、だからこそ誤解されたり傷ついたりしやすい女の子だった。もしも生まれ変わりがあるのなら、皆から愛される4月のピンクのさくらじゃない、5月の緑のさくらの木になって、
海の向こうでは私と同じ高校生の女の子が地球温暖化についての活動に熱心に取り組んでいるらしい。海なんてどこにも見えない内地の街にくる夏はひたすら蒸し暑くて、真冬になった今、暑さで動きの鈍い脳みそでだらだらと話していた夏期講習の日々を懐かしく思
大好きな女の子と木漏れ日を見た。5月の涼しい昼下がりだった。たゆたうように揺れる光を見上げながら、そういえばこうして見ているのは葉の裏側の部分で、木漏れ日は葉の裏側が織り成す光だったんだなと気づいた。彼女は額をまっすぐ前に向けて、どこか遠く
数学がどうしても苦手で、定期テストの度に追試に引っかかって、放課後に何度も何度も同じ数式をやり直すことになる。夕方のどしゃ降りのなか、追試帰りの手のひらで頭を覆って駅まで走って帰った日もあった。綺麗に巻けた前髪もおろしたての靴下もぐちょぐち
プラネタリウムの帰り道は地面がぐらぐらする。神秘的で果てしない宇宙がすぐそこにあるのだという事実に胸がいっぱいになる。卵を割ろうとしてふと手を止めてしまう。白いすべすべの鶏卵も、屋根を落ちる雨粒も、公園の隅の小石も、ぜんぶ球体で、ぜんぶ命で
短歌に出会ったばかりの15歳のころから、「短歌の好きなところ」を聞かれたら必ず同じ返答をしている。「何でもない日常も深い悲しみも絶望も、短歌の31音にすると特別で美しいものだと気づけること」これはわたしの名刺代わりの一首だ。傘から雫が落ちる

Profile

三海 詩野

三海 詩野

(みうみ しの)

2001年10月2日生まれ。北関東出身。
全国高校生短歌大会(短歌甲子園)、2017・2018年団体戦2連覇ほか、高校3年間で計7つの全国1位を受賞。
好きな食べ物は葡萄とサバとパンケーキ。将来の夢は自分の歌集を出すこと、葡萄畑の麓に家を建てること。

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