しのの歌
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しのの歌

四六時中、歌のことを考えているという高校生歌人がつむぎだす言葉のきらめき。
日本人の精神の遺伝子に流れている「短歌マインド」が彼女の歌によって惹起される。

Topics

人は遠い昔、海からうまれて、死んだらまた海へ帰ってゆくのかもしれない、という考えが頭の隅にある。いつか読んだ絵本の一部だったと思う。冷蔵庫の扉のつめたさが心地良さになる季節が近づいて、不意に覚めてしま
ゆでたまごの殻をむくときの、一箇所に上手く指が入ると一気につるんとめくれる瞬間が好き。手に持っているのは同じたまごであるはずなのに、殻をはがした途端に台所の光をまるく滑らせるなめらかな体へと生まれ変わ
昔から人付き合いが苦手だ。でもそれは人が苦手なんじゃなくて、人と関わることにネガティブすぎてしまう自分自身が苦手なだけなんだと思う。もしかしてあの発言ダメだったかな、あの行動負担に思わせちゃったかな、
すぐに散っちゃうから。死を連想するから。だから、桜の花が好き。18年間育ったこの街はなんにもない田舎だけど、なんにもないぶん、その空白を誤魔化すように春にはそこらじゅうで桜が咲く。普段は鳩と猫しかいな
先日、高校を卒業した。17歳になったときは自分は永遠に17歳な気がしていたけれどそんなことはなくて、あんなに遠かった18歳も気づいたら半分が過ぎて、紺の制服はあっという間にコスプレになった。一度も制服
体育のあとの男子はグレープフルーツのにおいがする。女子の使うバラや石鹸の香りの制汗剤とは明らかに違う、もっときつくて、苦くて、目に染みるような爽やかなにおい。そういう制汗剤が男子のなかで流行っていたの
コピー機はどこかに行きたいとか思うことはないんだろうか。コピー機だけじゃなくても、冷蔵庫や、ソファーや、本棚なんかは。子供が寝ている間に冒険をするぬいぐるみのアニメーションではいつも、大きな家具や家電
高校3年間の思い出を振り替えるとき、いつも脳内に部活の後輩の女の子が登場する。大会に向けて何度も何度も話し合って、何度も何度も優しい言葉をもらって、何度も何度も一緒に泣いたり笑ったりした。感情をまっす
体育の後の水道の列は、一日で3番目くらいに騒がしい。グラウンドの暑さや授業時間の長さに文句を言いながら、大体はふざけ合って過ごした。順番が回ってくると会話は自然と止まって、皆手だけを見つめて、手を洗う
大好きなアイドルの子がグループを脱退した。誰よりもまっすぐでかっこよくて繊細で、だからこそ誤解されたり傷ついたりしやすい女の子だった。もしも生まれ変わりがあるのなら、皆から愛される4月のピンクのさくら

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Profile

三海 詩野

三海 詩野

(みうみ しの)

2001年10月2日生まれ。北関東出身。
全国高校生短歌大会(短歌甲子園)、2017・2018年団体戦2連覇ほか、高校3年間で計7つの全国1位を受賞。
好きな食べ物は葡萄とサバとパンケーキ。将来の夢は自分の歌集を出すこと、葡萄畑の麓に家を建てること。

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