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負け戦につながる真の敵は、むしろ自軍に潜む怯懦(きょうだ)にある

『信長の原理』より

 小説家、垣根涼介の『信長の原理』から抜粋した。その奇行から、“うつけ殿”として実母からも家中郎党からも毛嫌いされていた吉法師こと、幼少期の織田信長は、蟻の行動原理から、ある真理を導き出す。2:6:2の割合で、積極的に働く蟻と、それにつられて働く蟻、まったく働かない蟻の3種類に分けられると。

 フィクションではあるものの、織田信長の人となりを知れば知るほど、その魅力にはまってゆく。

 

 怯懦とは、おびえ、おじけること。

 臆病で気弱なことを言う。

 

 戦況で命取りとなるのは、自軍の士気の低さだろう。

 有能で腕っ節も強いからといって、士気が低ければ、いないも同然。

 太平の世ならともかく、乱世では、士気の高低や精神力の強弱が生死を分ける。

 

 屈強な組織をつくるには、個々の力が存分に発揮できるよう、適材適所に人を置く必要がある。

 そして、一人ひとりが自分の力を最大限、発揮するために努力する。

 

 と、わかっていても、そううまくいかないのが現状だろう。

 信長も、その胸中を吐露してる。

 

 ― やはり、蟻の動きと変わらない……。

 いくら軍勢全体の質が飛躍的に上がっても、戦端でその勢いを引っ張っていくのは、いつまで経っても全体の2割ほどでしかない。

 あとの8割は、その活躍に負けじと働いているに過ぎない。

 

 では、どうすればいいのか。

 能力偏重の少数先鋭主義で戦ってきた信長の答えはこうだ。

 

 ― 戦場での働きは、その時々のやる気が伴っている者たちだけを集めてこそ、初めて全体として機能するのではないか……。

 

 立派な身分や肩書があっても、つねにそれ相応の力が発揮できるとは限らない。

 体の具合や気組みは、日々変わる。

 

 だからこそ、ふだんから心身を鍛える必要があるのだろう。

 丈夫な体は、心をも丈夫にし、気力を高める。

 

 臆病な心や、弱い心が顔を出してきたら、体の状態を見てみるといい。

 やさしいものや便利なものばかりで体を甘やかせていると、体力とともに、精神力も気力も衰えていくから要注意。

 

「美しい日本のことば」連載中

(190228 第517回)

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紺碧の将

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