人の数だけ物語がある。
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紺碧の将
Interview Blog vol.66

人を喜ばせたいという気持ちが、前進するための原動力になるんです。

株式会社モルティー 代表取締役藤岡由起子さん

2018.12.21

 

美容室・エステ業界では、開業から1年で60%、3年で90%もの店が閉店し、10年以上続く店は5%にも満たないと言われています。そんな状況のなか、藤岡さんが経営をするエステサロン「MOLTI(モルティー)」は2018年11月で12周年を迎え、その人気に衰えはありません。多くのファンに愛され続ける秘訣は藤岡さんが持つ、絶対的な信念にありました。経営者として、そしてコンサルタントやエステ学校の特別顧問としても活躍中の藤岡さんにお話を聞きました。

お客様のためのエステサロンを目指して

多岐にわたってご活躍をされていますが、ふだんはどのようなことをされているのでしょうか。

 株式会社モルティーの代表として、エステと化粧品販売の経営が軸ですね。エステサロンは3店舗(宇都宮市・小山市・広島市)、それとWEB事業部で展開しています。他には経営・化粧品開発のコンサルタント、エステ学校の特別顧問もやっています。講演のご依頼をいただくときもありますね。

モルティーはこれまでのエステサロンとは一線を画した新しいスタイルが多くのファンから指示されているようですね。

 一番の特徴はリーズナブルな価格であること。モルティーのメニューは1000円からあるんですよ。そしてお客様にクレジットを組ませないことですね。お客様のお財布の中から代金を頂くようにしています。今後もこれだけは絶対に変えないと決めています。

 あとはエステのサービスだけを提供するのではなく、お客様に“おもてなし”をすることです。マッサージをしたら終わりではなく、カフェのようにドリンクやスイーツを楽しみながら相談やお話ができるような、くつろげる環境を作っています。女の子の好きなものを詰め込んだ空間にしたかったんです。

確かにそれはモルティーにしかない大きな特徴と言えますね。なぜそのような経営スタイルを目指したのでしょうか。

 エステって気軽に行けないイメージがありますよね。その理由の一つに価格の問題があると思うんです。あるエステサロンに勤めていたとき経験したのですが、そこではお客様がエステに通うために高価なクレジットを組むんです。化粧品は消耗品ですから半年もすればなくなってしまうのに、クレジットは残ったままになる。なくなった化粧品を買うためにまたお金がかかるの繰り返し。キレイになりたいからエステに来たはずなのに、いつのまにか月々の返済のために苦労して働くようになって……。こんなの絶対におかしいって思いました。だからエステサロンを経営するなら、この業界を変えていきたいと思って。

そのお店に勤めていたときに、業界の悪い部分が見えてしまったんですね。

 もちろん全部のエステサロンがそうではありませんが、そういうお店が多かったために、ちゃんとしたエステを受けられるのは一部のお金持ちの人だけっていうイメージを持っている人が多いと思うんです。でも学生の女の子だってキレイになりたいはず。だからクレジットを組む必要がなくて1000円からの価格でエステができたら絶対に喜ばれるだろうって思ったんです。

 エステって続けなければ意味がないんです。それなのにお金の都合で通いきれなくなってしまったら、お客様はなんのために来店してくれたのかわかりませんよね。私たちの仕事はお客様からお金をもらうことではありません。お客様のご納得する美を提供するのが、エステサロンの存在意義なんです。

そのスタイルで実績と信頼を得て12周年を迎えられたわけですから、お客様にも藤岡さんの想いが伝わっているんですね。

 エステ界のマクドナルドになりたいってよく人に言うんです(笑)。学生でも主婦でも、誰もが気軽に行けて、適正な価格とちゃんとした品質のサービスを提供できたらいいなって。

 安いだけで効果や結果がでなかったら意味がありませんが、お客様にはモルティーのサービスに納得していただいていると信じています。3店舗で年間1万人以上のお客様が3年連続で来店していることが、それを証明していると思います。

 こだわり続けて、信念を曲げずにずっとやってきた結果が今のモルティーを作っているんです。

裸一貫からのスタート

いつ頃からエステ業界に進もうと考えたのですか。

 子供のころから「絶対に将来は社長になる」と周りに言い続けていましたが、具体的な目標はなかったんです。とにかく社長になりたいという気持ちだけはあって。だからエステ業界も特に目指していたわけではありませんでした。

 26歳までは職を転々としながら地元の広島で毎日遊んでいました。友だちもいっぱいいて楽しい日々でしたが、ある日、ふと思ったんです。いつか社長になるって公言しておいてこの生活はどうなんだろう、これじゃ成功なんてするはずないって。それで周囲の反対を押し切って広島から裸一貫で栃木県宇都宮市に来ました。

26歳という若さで日々を楽しくすごしていたのなら、普通はそのまま流されて生きてしまうと思います。それでも社長になりたいという気持ちが藤岡さんの中に残っていたから行動を起こそうと思ったわけですね。しかしなぜ栃木県に? アテがあったのですか。

 とにかく関東圏に行こうと思っただけでアテはありませんでした。文字通り、体一つで出てきたので、着いたその日から野宿です。ホームレス生活でしたよ。特に将来のビジョンがあったわけでもなく、行動しないとダメなままだと思っただけで飛び出したので……。いま考えると怖いもの知らずですね(笑)。

 絶対に失敗して戻ってくるだろうって言われたことが悔しくて、成功するまでは広島には帰らないって決めたんです。

泊まるところもなかったのですか。

 宇都宮市に到着して間もないころはそうでしたね(笑)。日銭を稼げるところで働きながら、親切な人に雨風だけ凌げる倉庫のような場所を使わせてもらえるようになって、徐々に住むところはなんとかなるようになりました。食べ物は広島から友達が送ってくれたんですけど、それでもパンの耳を食べたりみかんの皮をかじって過ごした日もありましたよ。

それは壮絶な日々ですね……。今の藤岡さんを見ているとにわかには信じがたいです。そこからモルティー開業までに至った経緯をお聞かせください。

 そんな生活をしていても、化粧品だけはずっと使い続けているメーカーのものがあったんです。凄くいい化粧品なので、試しに仲良くなった人にそれを使ってマッサージをしたらやっぱり効果が出るんですよ。これを使って、安い料金の簡単エステをやって効果を実感してもらえれば、自分の理想のエステサロンができると思いました。それで化粧品会社に連絡をして、代表の方と相談しながら本格的なエステを始めました。ちなみにその代表が今の夫です(笑)。

 はじめは自分が住む部屋の一台のベッドからスタート。いい環境とは言えませんでしたが、それでも効果があるし安いので、一ヶ月もしないうちに予約がいっぱいになりました。やっぱり私のエステに対する考え方は間違ってなかったんだって思いました。

何事も人間対人間

経営をする上で心がけていることはどんなことでしょう。

 「人に優しくする・人を喜ばせる・人を大切にする」が信念ですが、それを曲げないことですね。経営に限らず、何事も人間対人間。それが人生の基本だと思っているんです。人を大切にすること、人に感謝をすることって当たり前のことですよね。でもその当たり前を信じてやってきたからこそ、モルティーはお客様に大切にされているのだと感じるんです。

 経営は生き物なので、当然苦しいときもあります。そんなときに利益が優先になって信念がない行動をあれこれやり始めてしまうと、余計に苦しくなるケースが多いですよね。なんのためにこの会社は存在するのか、なんのために私たちはこの仕事をしているのかを忘れてはいけません。

確かにモルティーの経営スタイルは“人”を想う心から生まれています。藤岡さんは“人”という存在に敬意をお持ちですよね。

 “人”がいるからこそいまの私があるのです。どんなに忙しくても必ず月に一回、家族みんなでご先祖様のお墓を掃除しにいくんです。ご先祖様がいらっしゃったから今の私たちがいる、その心をないがしろにして商売なんてできません。

 だから親孝行もとても大切なことだと思っています。スタッフさんにもそうして欲しいので、家族との時間を大切にできるような環境を作っています。そういう気持ちを持っていればスタッフさんのご家族も応援してくれたり、通ってくれたり、モルティーで頑張りなさいってスタッフさんに言ってくれるんです。

藤岡さんは「スタッフ」ではなく「スタッフさん」と言いますね。スタッフの皆さんに対しても敬意があると感じます。

 私から見ればスタッフさんもお客様と同じ「宝」です。人材は宝とよく言いますけど、ほんとうにその通りだと思います。スタッフさんなしでは今の私は語れませんから。だからこそ、スタッフさんが働きやすい環境を整えることが経営者の仕事だと思っているんです。

 私、会社にはほとんど行かないんですよ。新社屋を建てたときも社長室を作りませんでしたし、それどころか自分のデスクも置きませんでした。スタッフさんには私に気を使うのではなくお客様に集中してもらいたいと思っていますし、みんな優秀なので、私の信念をよく理解してくれてお客様を喜ばせてくれているので、安心して任せられますからね。

他人と過去は変えられない

モルティーの強さはまさにその信念にあるわけですね。だからこそ、スタッフの皆さんも藤岡さんについてきてくれる。

 今でこそ、こういう考え方に至りましたけど、人を雇うようになったばかりの頃はどうしようもない経営者だったんですよ。仕事に妥協をしなかったので、自分のやり方を押し付けて、スタッフさんから見ればすごく怖い存在だった。トップだから偉ぶっていいだろうみたいな考えがあったんだと思います。

 でも当時のスタッフさんからトップが嫌いだから辞めますって言われて、それがすごくショックだった。とても傷つきましたが、そのスタッフさんはもっと傷ついたんだろうって思いました。それがきっかけで、もうこんな思いはしたくない、変わらなきゃって思ったんです。

過ちに気づき自分を変えることができるのも藤岡さんの強さですね。 

「他人と過去は変えられない」ということがわかったんです。これは夫から言われた言葉ですが、名言だと思っています。変えることができるのは今の自分自身だけなんです。自分が変われば会社も変わる。だから変わらなきゃって思って。

 失敗しないと気がつかないことってあるんです。その経験をいかに成功に結びつけるかが、自分と会社を成長させるんだなって感じています。

今後の目標をお聞かせください。

 全国各地にモルティーを作ってくれってよく言われるんです。私もそうしたいとは思っています。でも大切なスタッフさんに会社の命令であっちこっちに異動しろと言うわけにはいかないんです。だったら私が各地に行って、モルティーのようなお店をつくりたいというオーナーさんにモルティーの魂を伝えて経営してもらいたいんです。モルティーを名乗りたいならそれでもいいですし、別の名前でお店をやりたいならそれでも構いません。肝心なのは信念がモルティーであることです。ちゃんとその魂が入っていればいいんです。そんなエステサロンを全国にどんどん増やしていきたいですね。

Information

【株式会社モルティー/宇都宮店】

〒320-08314

栃木県宇都宮市陽南4-4-20

TEL 0120-41-3605

ホームページ:https://www.e-molti.jp/

 

・小山店

〒323-0811

栃木県小山市犬塚3-8-10(ルネッサンス犬塚)

TEL 0120-41-3605

 

・広島店 〒730-0037

広島県広島市中区中町2-22(畳材中街ビル304号)

TEL 0120-41-3605

 

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