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紺碧の将
Interview Blog Vol.13

経験をしっかりと自分の糧にすることが大切なんですよね。

NPO法人飛山城跡愛護会 理事長菊池孝治さん

2017.08.07

菊池さん

飛山城史跡公園

菊池さんは飛山城史跡公園でNPO法人飛山城跡愛護会の理事長としてご活躍をされています。栃木県宇都宮市にある飛山城はどういったお城だったのでしょうか。

 飛山城は鎌倉時代の後半に芳賀高俊によって築かれたと伝えられています。約300年間も続いたお城なんですよ。豊臣秀吉の命で破却されるまでは芳賀氏の重要な拠点として機能していました。

 昭和52年に国の史跡に指定され、平成4年から史跡整備の発掘調査がはじまり、中世を中心とした数多くの成果が得られ、建物や堀・土塁の一部を復元したのです。

 その後、平成17年に史跡公園となりました。

取材前に公園内を歩きましたが、自然に囲まれながら丁寧に整備された歩道を歩くのは気持ち良かったです。各所からの眺めもよく、とてもいい場所ですね。

 そう言っていただけるのは本当に嬉しいですね。眺望の良さと四季折々の自然が楽しめますし、南西の方向には、冬の朝と夕方に富士山を見ることができます。国土交通省関東整備局がすすめる「関東富士見百景」にも選ばれました。ぜひ憩いの場として多くの皆様にきていただければ幸いです。また、当時のお城の様子を一部復元整備していますから、歴史学習の場としても活用していただきたいですね。

 

経験を活かすということ

菊池さんのこれまでの道のりはどのようなものだったのでしょうか。

 小学生のころから教師という職業に憧れていました。進学は農学部に入り、そこに教員養成科があったので、これだと思ってその道に進みました。

 ところが大学を卒業する頃は東京オリンピック(1964年)の直前で、世の中の景気がいい時代だったのです。当時は公務員になるより企業に就職したいと思う人が多かったんですよね。私も大手の医薬品会社に就職しました(笑)。

その会社ではどのような仕事をしたのですか。

 農薬の研究開発ですね。印象的だったのは、植物の病気の「うどんこ病」によく効く薬を開発したのですが、それを製品化するのが非常に難しく、断念したことです。効果はほんとうに凄かったので、悔しかったですね。製品化していれば、今ここにはいなかったかもしれません(笑)。

その後もずっと研究のお仕事を?

 だんだんと世の中が不景気になってくると、営業もやらなくてはいけなくなりました。辞令一本で転勤になることもありますし、そういうのが合わなくて、その後は教員になりました。

 もともと教員になりたくて高校、大学と勉強をしてきましたから、それが活きました。社会人経験があることは重宝されましたし、結果的に目指す職業に就けたことはよかったと思います。

現在のお仕事に就くまでは、どういった経緯があったのでしょうか

 定年後は教員研修の講師を何年か務め、その後「緑の相談員」の仕事をすることになりました。農薬関係の仕事、それに教員時代は農学について教えていましたから、それらの経験が活かせる仕事なんです。県立の公園で数年勤めた後、この飛山城史跡公園でもこの仕事をやることになりました。

ターニングポイントで経験を見事に活かされていますね。さまざまなお仕事を経験されていますが、その中で大切にしてきたことや心構えなどはありましたか。

 「耐えてこそ拓ける」という人生訓があります。例えば人と接する時、人間ですから、ついカッとなって出てしまった言葉。言われた方は忘れないものです。そうすると“そういう人間”なんだと思われてしまう。これは凄くマイナスなことですよね。逆にグッと耐えて冷静になることで、自分の中で反省が生まれたり、その時はじめてわかることがあったり、貴重な経験となることが多いのです。

 人生において、辛いことはたくさんありますが、その時にしか経験できないことがあるはずなのです。それは常に心掛けていました。

 

地域全体で取り組む

飛山城史跡公園の敷地は広いですよね。管理で大変なことはありますか。

菊池さん

 教員時代にも気をつけていたことですが、危機管理がそうですね。

 橋が腐って壊れる、スズメバチが出て人が刺されるなど、公園内には危険の“種”がたくさんあります。これはどの職業でも言えることですが、問題が起こってからでは遅いのです。当然のことですが、問題が起きる前に処理をしないといけません。そのためには、常にこの敷地全体に注意を向けないといけませんから、それは大変ですね。

今後の目標はありますか。

 この貴重な場所を、一人でも多くの人に知ってもらうことです。この地域には飛山城史跡公園以外にも名所はたくさんありますが、埋もれていることが多いです。そういう所と一緒に、地域全体でどんどんアピールしていって、盛り上げていきたいですね。

飛山城史跡公園だけではなく、地域全体に愛着があるんですね。

 皆で取り組んでこの地域を盛り上げていくことが大切なのです。地域の名所をピックアップして発表する会をやったり、毎年3月にはこの公園で歴史を活かしたお祭りをやっています。狼煙を上げて、甲冑をきて、武者行列を行っていますよ。地元の学生にも協力をしてもらっているんです。

 そうすることで、地域全体の認知度が上がって、どんどん人が来てくれるようになれば嬉しいですね。

 

Information

歴史学習の場、憩いの場として生まれ変わった飛山城。素晴らしい眺望と四季折々の自然が楽しめます。

とびやま歴史体験館では貴重な資料がさまざまありますので、ぜひお気軽にご来場ください。

 

【飛山城史跡公園 とびやま歴史体験館】

〒321-3236 栃木県宇都宮市竹下町380-1

休館日/月曜日(祝日・休日を除く)、祝日・休日の翌日(土曜・日曜を除く)、年末年始

開園・開館時間/4月〜10月 9:00~17:00 11月〜3月 9:00〜16:30

TEL.028-667-9400

ホームページ

http://st0011.nas931.utsunomiya.nttpc.ne.jp/ext/tobiyama-hp/top/tobiyama-1.htm

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