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紺碧の将

植物になったつもりで自分を律する

2011.06.09

 私はめったに病気をしない。会社を興して24年強、今までに病欠ゼロというのは密かな自慢でもある。

 ただし、風邪をこじらせると気管支にきて、咳が止まらなくなる傾向がある。そうなると、治るまでに1ヶ月以上要すことになる。ゴホゴホと咳き込むと、肺を病んだ老作家みたいになり、周りの人たちも「高久もこれまでか」と思うらしい。

 ところが、今回は意外にも早く治りそうだ。

 

 東北の被災地へ行って、風邪をこじせた。行く前から熱っぽく、しかも台風の到来で気温が急激に下がった。本来であれば、出発を遅らせるべきだったのだろう。

 しかし、健康への過信があったことは否めない。予定通り強行し、ようやく見つけた宿では寒くて寒くて、バスタオルやウィンドブレーカーを体に巻き付けて寝たものの、それでも寒い。だが、被災地で頑張っている人に、「暖房つけてください」とは言えない。長時間の運転による疲れと惨状を目の当たりにしたショックとで一気に風邪は悪化した。

 

 その後、自分の意思で咳が出るのを阻止することはできないかと考えた。そこで、ある話をヒントに、次のようなことをした。

 マスクをし、i Podで静かな音楽を聴きながら精神統一し、呼吸を最小限に抑え、あたかも植物になったようにみじろぎもしない。

 すると不思議。それまで1分間隔で出ていた咳が、急に止まってしまったのだ。

 ヒントにしたある話というのは、高速バスを利用してお盆に帰省する際、渋滞にはまり、おまけにエアコンが切れてしまったという時の知人の対応だった。他の乗客はかっかときて、クレームをつけるやら苛々するやら……。しかし、その人は目を閉じ、呼吸を浅くしてエネルギーを消耗しない方策をとったという。すると、暑さを感じなくなったというのだ。

 今回、私はその話をヒントにしたというわけ。

 その方法でうまくいったものだから、自信を得た。今後はあらゆる局面で応用できるにちがいない。

 

 約7万本もあった高田松原の中で、たった一本だけ残った松の話を知っている人は多いだろう。あの松はなぜ、生き残ったのか。植物に詳しい人は、偶然に偶然が重なったというが、果たしてそうだろうか。なぜ、数本ではなく1だったのか。なぜ、ゼロではなかったのか。

 世の中は不思議なことだらけで、学んでも学んでも、わからないことが増える一方だ。

(110609 第257回 写真は高田松原の一本松)

 

 

 

 

 

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