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紺碧の将

神話の国、出雲へ

2019.07.10

 日本人の多くは、神が棲む社といえば伊勢神宮と出雲大社を思い浮かべるだろう。

 伊勢神宮は、広大な森に包まれ、森閑としている。そこに身を置くだけでただならぬ気配を感じる。うかつにオヤジギャグなど言えない雰囲気がある。

 一方、出雲大社は『千と千尋の神隠し』に出てくる神々のための湯屋のイメージに近い。毎年、10月になると全国から八百万の神々が集まるとか、縁結びの神と崇められているなど、出雲大社はどこかユーモラスである。おおらかなのだ。もちろん、私がそう思っているだけで、そうは思わない人の方が多いかもしれないが。

 出雲大社(「いずもたいしゃ」ではなく「いずもおおやしろ」と読む)は大国主命(おおくにぬしのみこと)など、数多くの神を祀っている。大国主命といえば、『古事記』や『日本書紀』に出てくる神様で、素戔嗚尊(スサノオノミコト)の子孫である。国づくりという大業を果たしたあと、天照大神に国を返し(=国譲り)、そののち見えない世界に棲んで「むすび」の霊力を司っているとされている。

 現在の出雲大社本殿は、延亨元(1744)年、造営された。高さは約24メートル。日本最古の神社建築と言われる大社造りの様式で建てられている。3本×3列の柱によって支えられている。真ん中の一本は心御柱。

 この柱が見事である。出雲大社に隣接している島根県立古代出雲歴史博物館に、平成12(2000)年に出雲大社境内の遺跡より出土した心御柱(宇豆柱)があるが、間近で見ると、その大きさに息を呑む。細かい年輪が複雑な紋様を描き、波乱に満ちた劇的な生涯を彷彿とさせる。余談ながら、同館には、古代の出雲大社本殿がどのような形だったか、5人の建築家の模型が展示されているが、どの案を見ても、当時の日本人の建築技術と深い信仰心に恐れ入るばかりである。

 出雲大社……、いにしえの日本人の夢が凝縮した、懐の大きな社である。

 

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(190710 第915回 写真上は出雲大社本殿、下は古代出雲歴史博物館)

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