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紺碧の将

美にいざなわれる蛾

2019.02.11

 先月のある日、車で走っていると、改装なったアルファロメオの販売店が目に入った。

 私はまるで街灯に引き寄せられる蛾のようにハンドルをきり、ショールームに滑り込んだ。

「美しい!」

 まず目に飛び込んできたのは、目の覚めるような黄色の4C。スパイダーの後継車で、よりスポーティーさを増している。

 もう一台、惹かれたのは赤のSTELVIO(ステルヴィオ)。こちらはSUVでやたらデカイ。次はSUVに乗りたいと思いつつ、こうまで大きいと手に余る。

 いずれも1,000万円前後するのだから今の私には無縁の車だが、舐めるように見てしまう。全体のプロポーションはもちろん、各部の造形に至るまで、とにかく「美しい!」。

 営業マンにいろいろ質問したが、ひとつ解せなかったのは、デザイナーの名前が明らかにされていないということ。イタリア車といえば、まずは「誰がデザインしたのか」だが、それが明らかにされていないというのは時代の趨勢なのか。イタリアでカーデザイナーといえば、サッカーのスーパースターのごとき崇められているはずなのに、どうやらそうではなくなりつつあるらしい。

 私が12年間乗り続けている車は、ジウジアーロとピニンファリーナの合作。今でも、「美しい」と惚れ惚れしながらドアを開ける。ちなみに、イタ車は壊れるという〝常識〟に反して、ほとんど故障らしい故障はなく12万キロも走っている。むしろ、燃費は上がっており、人馬一体感も増してきた。愛すべき駒である。

 自然も美しいが、人がつくったものも美しい。そう思わせてくれるイタ車は、やはり稀有な存在である。

(190211 第877回 写真上は4Cのエンブレム、下はステルヴィオのエンブレム)

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