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紺碧の将

人間とは可笑しなもの

2019.01.04

 ニンゲンという生き物は面白い。自分もその一人だということを忘れて、そう思ってしまう。

 東京ステーションギャラリーで「吉村芳生 超絶技巧を超えて」展が開催されている。聞いたことのない画家だったが、行ってビックリ玉手箱。あまりに滑稽で、あまりに可笑しい。しかも、タイトルのように、絵の技術や表現力は度を越している。

 なにしろこの人、自画像を描きまくっている。1年間、毎日描くということで味をしめたのか、新聞紙上に自分の顔が映っている作品を数えきれないほど描いている。しかもトップの見出しに合わせ、表情を変えている。よく見ると、新聞の字も作者による手書きである。

 いったい、なにが彼をそうさせた?

 正直、どこにでも転がっているような顔だ(失礼)。指名手配のポスターに使えそうな表情のものもある。情けない顔、うんざりしている顔、途方に暮れている顔、純真無垢な顔、なにか物言いたそうな顔……。とにかく顔、顔、顔である。

『ドローイング 金網』という作品は、金網をただひたすら描き、なんと17メートルにもなってしまった。なぜ17メートルかといえば、展示する壁の長さが17メートルだから。100メートルの壁があったら、それに合わせていたことだろう。

 そうかと思うと、『無数に輝く生命に捧ぐ』のような本格的な日本画風の作品もある。

 

 私はこういう変わり者が好きだ。長い間、編集をしてきたからか、こういう人を見ると血が騒ぐ。残念ながら、今生で会うことはできないが、あの世で会うことができたら、まっさきに取材を申し込みたい。

 開口一番聞くだろう。自分の顔のどこが好きだったのですか、と。

 

※うーにゃんの明治神宮お礼参り 「感謝すれば、だれもが幸せ者」

 

「美し人」

美の生活化―美しいものを人生のパートナーに

(190104 第869回 写真上は『自画像シリーズ』。これ、すべて鉛筆画。下は『無数の輝く生命に捧ぐ』の一部分)

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