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紺碧の将

白侘助と坂田甚内のコラボ

2009.12.15

 気がついたら、書、陶器、絵画など、かなりの点数の作品が手元にある。芸術家を取材する機会が多いことから、どうしてもそうなってしまう。相手に惚れてしまえば、作品をもちたくなる。それは自然の感情だ。

 ところが、飾るスペースにもストックするスペースにも限界がある。これ以上、なるべく買わないようにしようと心に決めてはいたのだが、仲のいい陶芸家・坂田甚内さんのアトリエを訪ねたら、とても素敵な作品があったので買い求めてしまった。

 それが右の写真。ある盆栽家と甚内さんがコラボレーションした時の作品のひとつだが、白い椿(侘助)と抹茶茶碗の組み合わせだ。写真ではわかりにくいが、鉢の代わりとなっている茶碗は、甚内さん特有の黒陶波状紋である。私は陶器なら、甚内さんの作品が一番好きだ。愛用のマイ猪口もほとんどが甚内さんの作品。他に愛用しているのは島田恭子女史と『Japanist』第3号の表紙を飾ってくれた宮原隆岳氏のものが多い。

 

 この白侘助が我が家のリビングに来てから、雰囲気が一変した。なんというパワーだろう。すべての植物は精巧な芸術品といっていいが、この鉢植えは元々もっている侘助の存在感に加え、波状紋の陶器が醸す「気」の力が相まって、並々ならぬオーラを発している。テーブルの上に、これだけあればいいと思える。

 元来、椿の花は突如、ぼとりと落ちることから不吉なものとして武将から嫌われてきた。しかし、その優雅な姿形から、密かに愛した武将も多いと聞く。家康もそうだったらしい。

 

 ところで甚内さんのアトリエには他にもいくつかの鉢植えがあった。中でも興味を惹かれたのは山野草と陶器の組み合わせだ。陶器は元々土であったわけだから、マッチするのが当然といえば当然なのだが……。

 それにしても美しい。ずーっと眺めていても飽きない。

(091215 第134回)

 

 

 

 

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