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紺碧の将

悪条件に咲く可憐な花

2018.08.14

 山に登るたび、感嘆する。高山植物の可憐な美しさに。

 どう考えても最悪の条件に近い。夏でも寒風吹きすさび、土は固く、周りは岩山だらけ。日中と夜の寒暖の差も激しい。湿潤な平地とは大違いだ。それなのに、それなのに……か細い体(茎や枝)に可憐な花を咲かせる。

 花たちは、悪条件を嘆いたりはしない。「暗夜を憂うなかれ、ただ一燈を頼め」という心境か。あるがままに生き、花を咲かせ、枯れるだけ。その姿が美しい。

 地上から目を転じると、前方には雄大な峰々が広がっている。そのコントラストもいい。青空を遮るものは雲や霧しかない。雲や霧が晴れれば、青空すべてが手に入る。

 夏だからか、テレビで「日本百名山」がたびたび放映されている。登山愛好者が増えたのだろう。とてもいいことだ。

 現代社会の反動なのだと思う。恐ろしいスピードで変化する社会の異様さに対する防御反応とでも言えようか。技術の発展はいい面もあるが、同じくらい、いやそれにも増して悪い面もあると認識する必要がある。そして、いったんリセットするには、高い山に身を置くことも一案だと思う。ただ時代の波に流されるのは、自分が主人公の生き方ではない。人の心に潤いを与えない技術の、いったい何が進化なものか。

 そういうことを山の花や峰々は教えてくれる。

 

※悩めるニンゲンたちに、名ネコ・うーにゃん先生が禅の手ほどきをする「うーにゃん先生流マインドフルネス」、連載中。今回は「道具に振り回されない生き方」。

https://qiwacocoro.xsrv.jp/archives/category/%E9%80%A3%E8%BC%89/zengo

(180814 第834回 写真上は高山植物。下は西穂高岳独標からピラミッドピークを望む)

 

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