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素敵な大人がたくさんいる社会へ

2009.07.11

 茨城県常陸太田市で、“ハナチンスケ”こと原伸介の講演会が催された。もちろん、あの“信州のバカボン”の異名をとる、炭焼き職人である(※ただし、鼻毛は出ていない)。

 実は、絶版になった伸介の著書を小社にて再販することになり、現在準備中なのだが、一度提案した表紙のデザイン案があっさりと却下された。彼は表紙のタイトル文字は自分で揮毫したいという。言い始めたら、どうあやしても脅してもきかない炭焼き師なので、では、早々に送ってほしいと頼んでおいたのだが、なかなか届かない。私は私で『Japanist』の編集で忙しいことを理由に、しばらく放っておいた。結局、彼はそのことを失念していたらしく、この講演の機会に直接受け取ることになったのであった。

 相変わらず、ハートフルで威勢のいい語り口調だった。会場には若者がたくさんいたが、伸介の話はかなり彼らの心の奥に届いたと思う。

 こういう話があった。

──大人たちが、「最近の若者は夢がない」と言う。しかし、僕(原伸介)はそういう大人たちに向かって言うんです。若者たちに夢がないのではありません。大人たちの姿があまりにも疲れ切っていて冴えないから、夢をもちたくてももてないのです。だって、周りに素敵な大人がたくさんいたら、自分も早く大人になって、自分の夢を実現したいって思うでしょう?

 その通り! と叫びたかった。言っては悪いが、先輩経営者を見ても、愕然とするだけ。

 金、金、金……。たしかにお金は大事だけど、それだけなの? と訊きたくなってしまうほどお金のことかゴルフのことかクラブ(若い女性が同席する酒処)のことしか興味がない「大人」がたくさんいる。

 あの人たちの人生って、いったい何だったのだろうか。もちろん、中には素晴らしい経営者もいる。しかし、全体の中ではごくわずかだ。

 少し前まで日本の経済は一流と言われていたが、本当にそうなのかなと疑問をもたざるをえない。それくらい、ひどいありさまなのだ。食品偽装事件などは、全体のそういった流れの中のほんの一部が顕在化したものであって、多かれ少なかれそのような要素を抱えた会社はゴマンとある。せっかくお金持ちになったのだったら、もっと世の中のために使えば、少しは幸せ度が増すのに……。

 だから、原伸介など、若者に語りかける機会を数多くもっている人には、若い連中に熱いメッセージを伝えてほしいと切に、切に思っている。

(090711 第106回 写真は常陸太田市生涯学習センターで公演中の原伸介氏)

 

 

Profile

高久多美男

高久 多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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