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紺碧の将

美しき「人馬一体」

2017.03.12

 競輪・競馬・パチンコ・マージャン……。賭け事の代表格だが、私はとんと縁がない。若い頃にパチンコをやったことはあるが(当時は可愛い遊戯だった)、競輪も競馬もマージャンも一度も経験がない。

 しかし、生まれて初めて馬券を買った。3回買って、すべて外れだったが、だいたい概略はつかんだ。さ〜て、これから本腰入れて競馬場に通うとするか。
 というのはウソで、死ぬまで賭け事にはまることはないだろう。なにしろ会社経営自体が賭け事のような要素を含んでいるため(もちろん、そうではない部分の方が圧倒的に多い)、わざわざその世界に入る意味がない。以前、アメリカ南部のカジノへ行ったときも、特になんの感興もなかった。

 

 賭け事というゲーム(からくり)を作ったのは人間だが、サラブレッドを作ったのも人間だ。

 今回、取材のために大井競馬場へ行ったのだが、その人に教えてもらった。「サラブレッドという種はない」と。つまり、サラブレッドという固有種はなく、近親交配をして作り上げた馬であると。そう考えると、サラブレッドはアートの領域に入るのかもしれない。

 レースを観戦し、思った。なんと美しいのか。弾丸のように疾走するサラブレッドとそれを操る騎士の姿。まさに〝人馬一体〟とはこのことだ。
 馬の世界も人間と同様、厳しい。力のある馬は何十億円と稼ぎ(どんなに稼いでも、使うのは人間だが)、引退後も丁重に扱われる。いっぽう、そうではない馬の運命は想像の通り。すべて人間様のごつごうしだいだ。
 今回取材した人は、誘導馬の調教師である。馬との温かい交感の話を聞くと、人間はいろいろだなあと思う。
 そう、人間はいろいろなのである。当の人間さえもわかっていない、不可解な闇を抱えて生きる種なのである。
(170312 第706回 写真上はスタート直後のシーン。下はレースが終わった後の大井競馬場)

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