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紺碧の将

いい仕事をするために、人を選ぼう

2016.11.18

 「なにが欲しいの?」

 ある日、酒を飲みながら食事をしている時、妻に訊かれた。
 はたと考え込んでしまった。いったい、なにが欲しいんだろう? いろいろ考えるが、具体的に浮かんでこない。
 まず、住まいについては答えが出てしまった。導かれるようにして、今住んでいる物件に出会ったが、よほどのことがない限り終の棲家となるだろう。御苑の懐に抱かれるようにして日々を送れるなんて、よもや考えたこともなかった。郵便受けには頻繁に「売却しませんか」というチラシが入っているが、どんなにお金を積まれても、売却することはないだろう。というわけで、住まいに関する望みはない。
 今乗っている車はもうすぐ10年になろうとしているが、これ以外に乗りたい車はない。もし動かなくなったら、次はなにを買おうかと思うと、困ってしまう。なにも浮かばないのだ。
 その他、あれこれ考えても、欲しいものがまったく浮かんでこない。いいのか悪いのか……。
 「特にないね」
 そう答えると、「じゃ、なにがしたいの?」とたたみかけてきた。
 こっちはいろいろ浮かんでくる。アジアンリゾートで一週間くらいネコのように過ごしたいとか、車で日本一周したいだとか。
 でも、これも決め手がない。アジアンリゾートはたしかに魅力的だが、さんざん楽しんだからだいたいどういう快感を味わえるかわかっている。嫌みに聞こえるかもしれないが、無性に食べたいものもない。食べた時の感動がだいたいわかるから。
 いろいろ考えると、やはり「いい人たちと、いい仕事がしたい」に行き着く。これが明快な答えだ。そのためにこそ、いつも健康で、全力で仕事に向かえる状態にしておきたい。
 不思議なことに、今、私の周りに嫌な人はいない。私が会う人はユニークな人ばかりである。
 だいたい、会合とか会食とか取材など、人に会うのは一日1件くらいと決めている。執筆やら制作やらに時間を注がなければいけないので、どこかで一線を引いているのだ。だから、私のスケジュール帳がまっ黒けになるということはない。そもそも50歳まではスケジュール帳を持っておらず、すべて頭の中に入れていたくらいだから、そんなに予定は入っていないのだ。
 一日に会う人は少ないが、どの人も一緒にいて心地良い。みんなユニークで愛すべき人間だ。もちろん、仕事に関わっている人を含めて。
 こういう状態になれたのは、人を選んだからだと思っている。とにかく嫌な人とは会いたくないし、仕事をしたくない。それをずっと通してきたから、こうなれたのだと思う。
 創業以来、「朝起きて、今日は嫌だな」と思ったことがないというのは、ただの偶然ではないのだ。
 さあ、皆さん。人を選ぼう。
(161118 第680回)

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