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紺碧の将

リオ五輪と世界の情勢

2016.08.05

コパカバーナ もうすぐ、リオ・デ・ジャネイロ・オリンピックが始まる。

 リオ・デ・ジャネイロへ行ったのはいつだったか(と、ネットで調べる)。FIFAワールドカップ・ドイツ大会の予選リーグ、日本対ブラジルの試合があった日だから、2006年6月22日。成田─ヒューストン─サンパウロ─リオ・デ・ジャネイロと、30時間弱を要して訪れた。
 行く前、さんざん警告?を受けた。ブラジル代表チームと試合する日に行くなんて、戦火のなかに丸腰で行くようなものだ、と。
 しかし、実態はちがった。日本が先取点をあげた時、なんとブラジル国内で花火があがったのだ。ブラジル代表チームが得点をあげると花火があげるという慣習があるらしいが、ブラジル国民は対戦相手の日本代表に最高の敬意を表してくれたのだ。
 もちろん、「絶対に負けるはずがない」という自負心もあっただろう。国民的ヒーローのジーコが日本代表チームの監督だったからでもあるだろう。しかし、それだけではなかったはずだ。ブラジル国民は日本人が好きなのだ。そのことは、ブラジル滞在中、ひしひしと感じさせられた。
 ブラジル人と日本人、あまり共通点はなさそうに見える。ブラジル人は陽気であけすけで、細かいことには頓着しない(ように見える)。コルコバード、イパネマ、ポン・デ・アスーカルなどさまざまな場所を訪れたが、なんといっても驚いたのが、コパカバーナを闊歩する女性たちだ。容姿端麗な人もそうでない人も、〝ふだん着〟がわりにTバックの水着を着て颯爽と歩いているのだ。ビーチに面した繁華街の通りも、平気でお尻を出していた。
 あれから10年の月日が流れた。
 ブラジルの変わりように驚いている。ブラジルとアルゼンチンの国境沿いにあるイグアスの滝へ行った時のこと、「ブラジルは税金が高いけど、アルゼンチンには行きたくない」としきりに言っていた現地の人がいた。ブラジル人は自分たちの国を愛している、と。
 しかし、今はどうなんだろう。オリンピック直前まで開催に反対するデモが続いていた。貧富の差が拡大し、政権に対する不信感が高まっているにちがいない。
 一時、ブラジルはBRICs(ブリックス)の一員としてもてはやされていた。BRICs とはブラジル、ロシア、インド、中国の経済成長著しい4カ国を指す。しかし、いまや当時の勢いはない。いっときの経済発展の結果、残ったものはごくごく少数の富める者と大多数の貧しき者。この構図はブラジルだけではない。アメリカでもイギリスでも中国でもそういう構図がある。それに比べると、日本は格差が広がっているとは言われても、その程度が桁違いに小さい。おくゆかしい国なのだ。
 近年、世界中で台頭する極右化、自国第一主義は極端な格差に端を発している。なんらかのサーキットブレーカーが必要なのだろう。
 しかし、再分配が行き過ぎると、人は自ら汗水垂らして働こうとしなくなる。補助金漬けになった人たちを見ればわかる。
 要は、お金だけが目当てではない、本質的な勤労観が国民の間に根づいているか否かではないか。と、私は思っている。
(160805 第655回 写真はポン・デ・アスーカルから見たコパカバーナ)

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