多樂スパイス

世紀の愚行

2008.07.12

 宇都宮市のシンボルとして長い間、住民に親しまれている二荒山神社前の再開発が進んでいる。もともと、その場所には上野百貨店という老舗のデパートがあったが、経営破綻によって長らく空きビルになっていた。それを取り壊し、新たに高層マンションをおっ建てようというのだ。

 その地区には地元銀行など5人の地権者がいるが、一番の地権者であり、事業主体となっているのは大林組。

 えー? また大林組? と思う市民は多いはず。なにしろ、宇都宮市の大規模開発はすべてと言っていいほど、大林組がからんでいる。帝京大学と宇都宮美術館周辺の開発もそうだった。

 プンプン臭う。いったい、どれほどの「黒いマネー」が飛び交っていたか、想像するだにおぞましい。もちろん、甘い汁を思う存分に吸ったのは一部の会社であり政治家であろう。当時、東京地検の捜査が及んだと言われるが、あるところで行き止まりとなり、そのまま迷宮入りとなってしまった。悪いヤツらはもみ消しが得意だ。それもこれも、そういう仕組みになっているからに他ならない。

 二荒山神社前の再開発として、すでに建っている表参道スクエアとその高層マンションに投入される税金は総額約79億円。表参道スクエアは名前こそ立派だが、人の気配がしない。もちろん、そのような結果は建物が完成される前に見えていた。きれいなビルを建てれば再開発ができると考えているバカな人がたくさんいるが、あの無様な姿を目に焼き付けるがいい。

 1階にはおよそあの場所にもっとも不似合いなコンビニが入っているし、4、5階は宇都宮市が買い取って出張所にしているが、そうする理由はまったく見あたらず(本庁がすぐ近くにあるので)、閑古鳥が鳴いている。いったい何のために多額の税金を使っての建設であり、フロアの買い取りであり、職員の配置なのだ。住民をバカにするのもいいかげんにしろ! と言いたくもなる。まったくやりたい放題である。それもこれも、住民がまったくこの世紀の愚行に対して無関心だからだ。

 私たちはまだあきらめたわけではないし、まだまだ遅すぎるということはない。どんなに時間をかけても、宇都宮にとって最も重要な場所の行く末は市民の判断に委ねられるべきである。

 今、次の一手を準備中である。

(080712 第59回 写真は取り壊しが進む旧上野百貨店本館 )

 

 

Profile

高久多美男

高久 多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

多樂塾

SPONSORED LINK

ココロバエ

Topics

記事一覧へ
Recommend Contents
このページのトップへ