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紺碧の将

Japanist No.27、もうすぐ発売

2015.10.20

No.27 表紙&表4 1年を四つに区切る。これがここ数年の私のサイクルになっている。

 なぜなら、『Japanist』が年4回発行の季刊誌だから。取材先候補リストから具体的に取材先を選んでアポをとり、取材をして原稿を書く。連載している方々への原稿依頼をし、原稿をいただく。原稿の校正・推敲、レイアウトなどを並行して進めながら発行月の始め頃にデータを仕上げ、最終的な色校正を。発行日の3日前(22日)の朝10時に仕上がってきたものを発送する。これを年4回繰り返す。創刊当時より慣れてきたとはいえ、かなりの作業量だ。着想を得て始めてからもうすぐ7年になるが、我ながらよくぞ続いていると思う。それもこれも、ひとえに熱心な読者の存在があるからである。

 今号の巻頭対談のゲストは、映画『うみやまあひだ』の監督・宮澤正明氏。同作品は伊勢神宮をテーマにしたドキュメンタリー映画で、マドリード国際映画祭で外国語ドキュメンタリー部門の最優秀作品賞と最優秀プロデューサー賞を受賞している。
 「日本人とは何か、それを知る根っこが伊勢神宮」というタイトルをつけたが、まさに日本という国の特徴が、伊勢神宮に集約されていると言って過言ではない。つまり、伊勢神宮を理解することが、この国を理解することにもなるはず。その本質が本対談で語られている。
 「日ノ本の清談」は、香りのコーディネーターとして活躍する新井幸江さんをゲストにお迎えした。「香り」という目に見えない分野を選んだのはなぜか。どのようにしてスキルを磨いたのか。そして、東京から修善寺に居を移したのはなぜか。「自分に合った生き方を探す」という問いに対するヒントがたくさん詰まった対談だ。
 「ジャパニストの美術散歩」は、以前本ブログでも紹介した洋画家の薄久保友司氏。丹念で的確な造形力をもとに、独自の作風を構築した薄久保氏の作品はダイレクトに見る者の内奥に迫ってくる。その創作の秘訣とは?
 「転換期のキーパーソン」では、日本環境設計代表の岩元美智彦氏が登場。若い頃に見た映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のワンシーンがもとになって、氏の夢は何十年も続く。そして、世界で初めてリサイクル衣料品からバイオエタノールを抽出するという技術開発に成功。地下資源の乱費に歯止めをかける、画期的な試みだ。
 また、先に法案が通ったばかりの集団的自衛権を一部容認する安保法制に山田宏氏、近藤隆雄氏、不肖・私が言及。本誌ならではの、本質的な切り口で論旨を展開している。特に近藤氏の論は日本人論としても白眉。以下、編集後記から抜粋。
 ──近藤氏は、これまで日本を動かしてきたものは、人々の「思い」だと指摘している。昭和の戦争もそうだったと。当時の政治家には多少のリアリズムが残っていたが軍部は聞く耳がなかった。関東軍など出先の軍隊は大本営の指示を無視した。すべての国民の崇敬を集めていた昭和天皇は最後まで開戦に反対していたが、それすらも抑止力にならなかった。
 では、何によって日本は戦争へ向かっていったのか。「アメリカ憎し」という人々の思いが国を動かしたと近藤氏は指摘する。議論もリアリズムもない、ただ感情の集積。もちろん、それを煽ったのはメディアである。
 この構図は先の安保法制のときと同じだ。「戦争は嫌だ」という「思い」が安全保障を論じることを拒んだ。本来であれば、どのようにして戦争を未然に防ぐか、という主旨に則った議論が必要とされるべきだが、議論にさえならない。言わぬが花、沈黙は金なり、腹芸といった、日本人に特有の物言わぬ文化は個人間ではよいが、国際政治においては致命傷になる。
 日本人に備わっているものは伊勢神宮に集約されているが、決定的に欠けているものはリアリズムだ。特に政治、マスコミ、教育、司法、学会などの分野にそれが著しい。と、ここまで書いてきて合点がいった。終戦直後、GHQによって行われた公職追放に伴って、重点的に左翼勢力が注入された分野ばかりなのだ。戦後七十年経ってもアメリカの戦術は効いているということだろう。あらためてアメリカの底力に驚いている。

 他にも多彩な記事がたくさんあります。ご興味のある方は、本サイトより(近日中にオーダー可能)
(151020 第588回)

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