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紺碧の将

『Japanist』の背骨

2014.07.22

No.20 表紙&表4 本日、『Japanist』が完成した。今回で22号を数えた。

 『Japanist』に関する、私の原理・原則は次のように言える。
 「社会にとっていい人・いい組織を、自分の価値観に従って選び、自分なりの方法で表現する」。
 「自分の価値観に従って選び」が重要で、世間で注目を浴びているかどうかは関係ない。よしんば、「時の人」「とか「今、ブレークしている」などということも一切考慮しない。
 そのスタイルで、これまで号を重ねてきた。いいかどうかわからないが、これでメシを食っているわけではないので、そういう基準を貫くことができるとも言えるのだろう。
 今号の特長は、超元気なシニア世代が揃い踏みしたことだ。
 巻頭対談では、80歳でエベレスト登頂に成功した冒険家・三浦雄一郎氏に登場していただいた。この人の凄さはあらためて説明するまでもないだろう。命さえ神にさしだして挑み続ければ、不可能なことはないと教えてくれている。まさに武士(もののふ)の領分である。
 共感できるのは、学校の勉強も体育の授業も好きではなかったということ。つまり、「やらされる」のは好きではなかったらしい。そのかわり、本を読むこととか外で遊ぶことは大好きだったという。実は、私もそうなんですけど……という感じである。教育論も一聴の価値ありだ。
 「ジャパニストの美術散歩」では、山岳写真家・青野恭典氏に肉薄した。
 青野氏は現在87歳。若かりし頃は、RCCⅡ(ロッククライミングの日本代表)のメンバーでもあった。
 ひとことでいえば、命知らずの冒険野郎だ。なにしろ、10人中7、8人は崖から落ちて命を落としたという危険極まりないプロジェクトだ。そういうスピリットをベースに、好きな写真だけを撮ってきた青野氏の生き様には、充実した人生をおくるための、いくつもの示唆が含まれていると思う。表紙の写真も青野氏によるもの。過剰に保護された現代において、 RCCⅡのようなプロジェクトは認められるのだろうか。なにしろ、公園の遊具がほとんどなくなってしまったという世の中だから。
 「じぶん創造物語」では、80歳で「アイアンマン世界選手権シニアの部」でチャンピオンに輝いた、稲田弘氏に焦点を当てた。
 数回前にもバイクで颯爽と走る姿を掲載したが、「これがほんとうに80歳代か!!!!」という驚きの声を多数いただいた。もちろん、インチキ写真を使ったわけではない。
 自分で限界をつくらず、果敢に挑み続ける。だから、いつまでも生き生きしている。そういう生き方の良きお手本だ。
P054〜057 高久和男 さらに、「Leaders of JAPAN」では真打ち登場。
 実は、この人を紹介したいとはかなり前から考えていたのだが、あまりにも仲がいいし、姓も同じ高久なので、身内を贔屓にしているような印象を持たれるのはイヤだと思い、躊躇していた。
 従業員約2,000人を擁するイートランドグループの総帥・高久和男氏は私の遊び友だちであり、山登り仲間でもある。ただし、血縁関係はない。もちろん、ヘンな関係もない。
 私たちを知る人は、「しっかり者の弟、うっかり者の兄」などと言ってからかうが、もちろん、私が弟で和男氏が兄である。 
 しかし、そういう冗談交じりの評価はあてにならない。彼はふだん、遊び呆けているように見せかけ、じつは胆識の丈夫なのである。なにしろ、「営業するな、人を引き抜くな、業者を切るな」を信条に、業績を伸ばし続けている。
 「営業するな」とは、いっさい営業するなという意味ではない。同業者の仕事を奪うな、という意味だ。なぜなら、同業者の社員にも生活がある、だから生活を脅かすなと。ただし、まだ同業者が取り引きしていない企業、あるいは先方から声をかけられた場合は積極的にプレゼンテーションを行っている。つまり、先方から声をかけられるような仕事をしろ、というのが真意。
 3つ目の「業者を切るな」も奥が深い。高久氏の会社は事業所給食など、大量に食事を提供する事業を展開しているが、いまだに○○商店といった零細な取引先も大事にしている。経営コンサルタントからみれば、「なんて、愚かな!」と映るだろう。仕入れを一括で行えば、年間数億円は浮くにちがいない。それがわかっていたとしても、しない。父の教えもあるにはちがいないが、信念を貫くところがまさに「愚直経営」だ。
 和男氏はただのオジサンではなく、山に登ったかと思えば海に潜り、陸にあがってはオネイチャンのお尻を追いかけ回し、あげく茶をたしなむ。あろうことか、ロックバンドでドラムなんかを叩いたりもする。じつにくだらない話で盛り上がるかと思えば、国際情勢や経済、果ては歴史、禅、仏教など、話題に事欠かない。じつに、摩訶不思議なオジサンなんである。だから、長いお付き合いをしているのだけれども……。
 世の中の常識と正反対のことを唱えながら、業績を伸ばすという実例は、多くの経営者に勇気と気づきを与えると思う。必ず、「仕事はきれいごとじゃできない」といって、仕事がつまらなくなる方向へ行こうとする人がいるからだ。
 その他にも独特の記事がいっぱい(と思っている)。ちょっと読んでもいいかなあと思う人は、こちらをチェックしてください。
https://www.compass-point.jp/japanist/
(140722 第514回)

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