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紺碧の将

百田尚樹、吠える!

2013.09.15

百田尚樹 今、飛ぶ鳥落とす勢いの百田尚樹さんに取材した。

 私は子どもの頃から小説が好きだが、正直なところ、作家本人に興味をもったことはほとんどない。作品と作家は別だと考えていた。そもそも小説家という職業は、社会と乖離した部分が多いのだろう。左翼思想だったり虚無的だったり反社会的だったり、あるいは自分勝手だったり世捨て人みたいだったり……。たとえば、この時代にバルザックやヘミングウェイが生きていても、会いたいとは思わなかっただろう。

 なのに、初めてといっていいくらい、作品と作家が一致した。それが百田尚樹さんだ。

 百田さんはそれまで放送作家として活躍していたが、50歳を機に自らの半生を振り返り、「これをやった」と言えるほどのことを成し遂げていないと気づき、一念発起。全身全霊をかけて小説に取り組んだ。それがデビュー作の『永遠の0』である。今、その本は累計300万部も売れ、年末には映画が公開される。この出版不況にあって、300万部という数字は久しく聞いていない。いったい、いつ以来の快挙なのだろう。

 本屋大賞をとった『海賊とよばれた男』もスゴイ。つい少し前に、こんな剛毅な男がいたのかと思い知らされた。この作品は、単行本だけで100万部以上。他にも『影法師』『風のなかのマリア』『錨を上げよ』『モンスター』『輝く夜』『ボックス!』『夢を売る男』など、ジャンルの異なる作品を書き続け、そのほとんどが多くの支持を集めている。

 が、ただ単に〝売れっ子〟というだけなら、こんなに興味は抱かなかった。

 彼の思想は、筋金入りの保守本流なのだ。背骨が真っ直ぐで、社会に心が開いている。正義感も情緒もあって、権力に屈しない。はっきり言って、私好みの要素がふんだんである。

 ということで、『Japanist』の次号で取材したいと思ったのだが、実現するまでに紆余曲折があり、楽な道のりではなかった。結果的に取材が叶い、しかも単発ではなく、インタビュー記事を連載することになった。ありがたや、ありがたや。

 記事のスタイルは、私の地の文と百田さんのコメント、そして作品からの抜粋を組み合わせるというもの。第1回目は『永遠の0』をテーマにし、深く掘り下げながら、日本人へ向けたアツアツのメッセージを盛り込んだ。巻頭8ページの記事である。

 以前、テレビの「情熱大陸」で彼が出演した。私は友人からその番組を収録したDVDを見せてもらったが、その番組では、小説ネタ集めに奔走し、自作の売れ行きに執着するというキャラクター設定になっていた。多分に百田さんの大阪人気質によるサービス精神がそうさせたのだと思うが、本来の彼は真っ直ぐで芯の通った熱い論客である。

(130915 第453回 写真上は、百田尚樹氏。大阪駅にて)

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