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紺碧の将

美しく、柔らかい光

2013.06.26

ル・クリント 引っ越しするにあたり、リビングの照明はとことんこだわろうと思っていた。なにしろ、私はピカピカの蛍光灯が好きではない。あれは意識を覚醒させる光だ。仕事をするときはいいとしても、くつろぐ場にはまったく不似合いである。

 柔らかい光のなかで過ごす夕方以降の時間が好きだ。一日を振り返りながらチビリチビリとやる、あの時間をなんて表現すればいいのだろう。〝ありのままのじぶん〟が顕在化する時間でもある。

 そんなわけで、そういう時間にふさわしい照明を探し、あちこちショップを巡ったりネットで調べたりした。しかし、なかなかピンとくるものがない。

 柔らかい光といえば、イサムノグチに代表される、鉄製の骨組みと和紙の組み合わせを彷彿とするが、どちらかといえば私の感性に合わない。私はもっとシャープで、しかもモダンで柔らかいものが好きなのだ。

 いよいよ時間切れ、適当なもので妥協せざるをえないとあきらめかけた矢先、ドンピシャのものが見つかった。それが右上の写真。

 デンマークのLE KLINTというブランド。まず、流れるような曲面が適度な間隔をあけつつ、重なっている造形に驚いた。内側の電球の光がそれぞれの曲面に濾過され、濃淡のある光がもれてくる。その光を浴びつつ、さまざまに思考を巡らす時間はまさしく至福そのものである。蛍光灯では絶対に味わえない。

 ところで、今いろいろなモノを捨てている。毎日、何かを捨てようと思い、ひたすら実行している。置き物、生活雑貨、おみやげ(ゴメン)、衣類、本、CD、各種書類……。身の周りからモノがどんどん消えていくのはなんと爽快なことか。その代わり、ほんとうに好きなモノを身の周りに置こうと思っている。

 でも、ひとつ大きな弱点がある。なかなか本を捨てられないことだ。この本は生涯、絶対に読むことはない! とわかっている本であっても、愛着があって捨てられない。なんとなくカラダの一部をひきちぎるようで、いたたまれないのだ。それでも心を鬼にして、月に5冊程度の本を捨てている。ということで、本だけは増える一方。置き場に困っている。

 もうひとつ増えているものといえば、人とのつきあいだろう。雑誌の編集をしていれば、当然のごとくそういう結果になる。しかも私はポジティブな取材しかしないから、取材の後も良好な関係が続く。そんなわけで人とのつきあいも増える一方だが、こちらはまったく苦にならない。

(130626 第434回 写真は、LE KLINTの照明)

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