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紺碧の将

美しいものと美しくないもの

2013.06.22

金閣寺 日本人はじつに不思議な民族だ。美しいものが好きなのに、同時にくだらないものも好きだ。桜をはじめ季節の花々を愛で、会席料理や日本庭園など極度に洗練されたものがあるかと思えば、ひどく醜い野点看板があちこちに立てられている。バラエティ番組にいたっては、醜悪さの極致だろう。

 そういう二面性を如実に表しているのが、京都の金閣寺だ。

 金閣寺と銀閣寺、どちらが好きかと問われれば、躊躇なく銀閣寺と答えるが、金閣寺もたしかに美しい。特に、鏡湖池から見た金閣寺の光景はこの世のものとは思えないほど。

 しかし、しかしである。順路にしたがって敷地内を歩くと、思わぬ光景に出くわす。それが下の写真。なんと、「キティ金閣寺」「ワンピース金閣寺」「ディズニー金閣寺」などと書かれた看板があり、その向こうに売店がある。「京都限定品 ディズニー金閣寺」っていったい何?

 さらに歩いて行くと、ハデな黄色に塗られたおみくじの自動販売機がある。

キティ金閣寺 ここまでくると、もはや笑うしかない。金閣寺って世界遺産だったよな……と思うものの、その時点で思考力は皆無。ほんとにひどいもんである。これが自国の貴重な歴史的遺産に対するわが国の扱いかと思うと、情けなくなる。

 商売も結構。雇用も生むしね。

 しかし、しかしである。もう少し、上品にできないものか。

 金閣寺の例に見るように、わが日本人同朋は、いったいどういう感性を身につけているのか、ときどきわからなくなる。冒頭でも書いたが、ほとんどのテレビ番組(特に地上波の民放)は、低俗だ。作る方も作る方、見る方も見る方。ニワトリと卵のように、どちらが先かわからないが、わかることは国民の多くがあのおみくじ低俗さを受け容れているということ。大手出版社が発行している週刊誌もそうだが、かなりの需要があるから継続して出版されているということなのだろう。

 なぜ、需要があるのか。

 う〜、やっぱりわからない。

(130622 第433回 写真は、美しい金閣寺と美しくない付属物)

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