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本質的・根源的・長期的・包括的

2013.05.29

サグラダ・ファミリア 以前、宮大工の小川三夫棟梁に取材したことがある。彼の師である西岡常一の著書と合わせ、そのときの体験は私に多くのものをもたらした。

 彼らの仕事は、すべてが本質的・根源的・長期的・包括的なのだ。今の世の中の多くが、表面的・短期的・部分的なのと比べれば、そのちがいは瞭然としている。

 なかでも、再建がなった後の薬師寺西塔について話が及んだときだった。天平時代の寸法を割り出すまでに約1年間を費やし、なるべく創建当時の姿に復元したわけだが、なんと対になっている東塔の高さと比べると、数十センチ高いというのだ。自重による沈下などを考慮し、およそ300年後に高さが揃うよう配慮されていると。

 300年後といえば、自分はもちろんのこと、子どもや孫でさえ生きてはいない。自分がなした仕事の成果を見られるのは、ずっと後の世代の人たちだ。しかし、それでもその時代にまで思いを馳せて仕事をする。

 「かっこいい!」

 そう思わずにはいられなかった。

 バルセロナにあるサグラダファミリア教会もそうだ。200年がかりで建築を進めている。なかには日本人技師もいるという。

 自分の仕事が短期的になりすぎているきらいがあると反省したのは、小川棟梁に会ってからのことである。広告業界や出版業界も巷の例にもれず、より短期的な成果を求めるようになっているが、私やコンパス・ポイント、ジャパニストの2社はかなり中・長期的に物事を見られるようになっていると自負している。それでも、小川棟梁のレベルに比べれば論外であることは言うまでもないけど……。

 本質的・根源的・長期的・包括的であることの大切さを噛みしめている。

(130529 第427回 写真は、サグラダファミリア教会)

Profile

高久多美男

高久 多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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