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紺碧の将

生き方が顔をつくる

2007.11.23

 気がついたら、超がつくくらい多忙な人間になってしまった。望むところではなかったが、誰かから指図されてこうなったわけでもないので、結局は自分が望んだことなのだろう。

 広告会社の経営、広告の企画・制作、社員の労務管理、財務管理という本職に加えて、『fooga』の編集と取材・執筆・制作。その合間に、さまざまな書籍の編集や執筆、その他もろもろ…。おまけに今は、『fooga』が独りだちできるよう、創業当時に戻ったかのように営業マンになっている。

 それだけじゃない。相変わらずジョギングしているし、読書は月に10冊のペースを維持し、楽器のレッスンも続けている。その上、毎日8時間〜8時間半という睡眠時間も維持している。これで忙しくないという方がおかしいのだろう。

「忙中閑あり」。

 だからこそ、という言い訳をつけて、長野県東御市にある、玉村豊男氏の「ヴィラデスト ガーデンファーム&ワイナリー」へランチを食べに行って来た。

 玉村豊男といえば、知る人ぞ知る、エッセイスト兼画家兼ワイナリーのオーナー。長野という地にしっかりと根付き、独自のライフスタイルを築いた人として、すでに十数年前から高い評価が定まっている。

 ほとんど一日がかりだった。やらねばならないことを頭の中で反芻すると、その時間が無駄に思えてくるから、そういう時は頭の中の雑念を空っぽにする。車の窓から流れ行く風景を愉しんだり、偉大なる経営者(ほとんど仕事をせずとも会社が好業績をキープしている、あの方です)の一見おちゃらけ哲学やバカ話に大笑いしたり……。まあ、なんというか、のどかな日であります。

 まわりになんにもない丘の中腹にその桃源郷はあった。「桃源郷」と書くのは、実際そこで働いている方々には失礼かもしれない。なにしろ便利さに慣れきった我々は、昼間のいい時間に訪れ、美味しい食事と風景を堪能するだけの人間なのだから。あの地の漆黒の闇も知らない。実際にそこで働く人たちは、もっとリアルな辛さや、それと表裏一体としてある歓びを享受していることだろう。

 それはともかく、玉村さんの顔の素敵だったこと! 顔は自分でつくる、という話は嘘じゃなかったんだ。

 反面、相も変わらず政治家や企業経営者の醜聞があとを絶たないが、テレビに映る彼らの顔の醜さといったら、形容のしようがない。都合の悪いことは「記憶にない」と言い切って逃れようとする、人間の皮をかぶったヘドロの塊だ。だからこそ、あのように無教養で下品な顔をつくることができたのであろう。

 やだやだ。やっぱり、時には「いい顔」に直に接しなければ。

(071123 第23回 写真は、玉村豊男氏〈左〉、専属パティシエの鈴木祥仁氏〈右〉と )

 

 

 

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