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紺碧の将

新しい会社の卵

2007.11.11

 バルザックの小説に、公証人が頻繁に登場する。お金をめぐる人間の暗部がこれでもか、と描かれるバルザック作品にはなくてはならない職業だ。公証人は、たいがいパリの裏通りの雑居ビルに事務所を構えていることが多い。遺言状など、隠密裏に正式の書類を作成するケースが多いことなどを考えると、どうしても人目につかない場所に事務所を構えざるをえないのだろう。

 さて、私も生まれて初めて公証人役場というところへ行った。横浜市にある神奈川県立歴史博物館のすぐ近くにある雑居ビルの中にあり、「役場」とはいうものの、スタッフが数人働いているだけのこじんまりとした一室である。

 遺言状を作成する、ためではない。まだまだ私は長生きするので、目下そのような必要性はないし、そもそも遺言状にするほどの余計なものはこの世に残したくない。

 現在、『fooga』とフーガブックスのための新会社を横浜に設立登記準備中なのだが、それに必要な定款の認証を受けるために赴いたのだ。

 今までに2度、会社を興した。どちらも設立登記手続は専門家にまかせた。しかし、今回はすべて自分でやってみようと思った。会社の創生に自ら携わりたかったのと、経費の節約の2つがその理由である。

 まず、その会社の法律とも言える定款作りから始めた。その前に社名が決まっていないといけないのだが、熟慮の末、フーガ・コミュニケーションズ株式会社とした。出版だけでなく、広告制作の請負もしたいので、あまり出版業に特化した名前にしたくなかった。

 定款作りはけっこうややこしい。会社運営の本質を踏まえ、文字の意味をよくよく考えないと、適正な定款は作れない。

 しかし、親切な公証人のおかげで、35条からなる定款が完成した。最終チェックは、図々しくもファックスで何度かやりとりをして済ませたので、あとは「役場」に赴き、認証を受けるだけだった。

 この後は法務局に必要な書類を整えて申請するのみである(申請日が会社設立日)。その時には事務所の住所が決まっていないといけないので、事務所の賃貸契約と同時並行で進める必要があるのだが、月内に登記、月明けから備品納入というスケジュールになろうかと思う。いずれにしても、2008年初頭から新会社の活動が始まる『fooga』が存続可能かどうかはそれ以降の働きにかかっている。

 ところで、まったく関係ない話だが、新聞によると、オランダ下院が従軍慰安婦問題で日本に謝罪要求することを決議したとある。まったく片腹痛いわ。自分たちがインドシナでどのようなことをしたのか、もう一度きちんと勉強しなおすといい。ヨーロッパでも「あいつはダッチだからな」と言われることが多いというが、むべなるかな、である。

(071111 第21回 写真は公証人役場へとつながるエレベーターの入り口 )

 

 

 

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