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湘南新宿ラインは移動書斎

2007.10.20

 世の中に「鉄男」と呼ばれる類の人がいることはわかっていた。いわゆる鉄道オタク。

 私も基本的に「どこかへ行く」ことが好きな人間なので、電車が嫌いなわけはないが、電車かクルマか? と問われれば、まちがいなくクルマを選ぶ人間だった。

 概して、クルマの方が能動的でオトコ的、電車は受動的でオンナ的、と思っていた。さらに言えば、クルマは個人の自由ツアー、電車はパッケージツアーというイメージがあった。鉄道はたしかに楽だが、自分の好きなクルマで自由に動けることを知ってしまった身には、不満が残るのは否めない。

 横浜に事務所を設け、たびたび往復する際も、ずっとクルマが多かったが、ここ2ヶ月くらいは電車に切り替えた。理由は一にも二にも、東京の大渋滞だ。視界の悪いマニュアル車にとって、大渋滞はもっとも避けたいもの。毎度お決まりのトロトロ運転で横浜往復はあまりに疲れる。

 ということで、電車で移動することにした。今までは、電車=新幹線だったが、今は在来線を利用している。

 宇都宮から東京まで新幹線で52分。東京から横浜まで東海道線で約30分。乗り換えのロスを入れて、合計1時間30分。湘南新宿ラインなら宇都宮から横浜まで2時間9分。さしひき、40分程度よけいに時間がかかるが、宇都宮が始発で、乗り換えすることなく横浜まで直通で行けるというのがいい。グリーン車に乗っても新幹線よりかなり安いし、読書や考えごとに没頭できる。かくして、湘南新宿ラインは私の移動書斎とあいなったのだ。

 ところで、先日、東京に所用があり、新幹線で行ったときだった。あまりに早く、あまりに車両が大きいので驚いた。いやー、新幹線ってホンットに早いなあ、とあらためて感心してしまったのだ。認識を新たにするということも、日々の愉しみにはちがいない。

 しかし、私にとって最もワクワクするのは、やはり愛車での移動である。路面の変化を尻で味わい、風景の移り変わりを目で楽しみ、好きな音楽やエンジン音を耳で愉しむ。好きなところへ好きなアプローチで行けるというのは、クルマならではの醍醐味である。自分のクルマのデザインに合わせて服装をコーディネートできるという愉しみもある。電車のデザインに合わせて服装を選ぶなんてことは絶対にありえないもの。

 それでも電車を移動書斎と割り切ってしまえば、それなりに愉しむことはできる。要は、その場その場に応じて愉しめばいいということだろう。

(071020 第17回 写真はなんてことない車両デザインの湘南新宿ライン)

 

 

 

Profile

高久多美男

高久 多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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