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紺碧の将

天才歌い手と原発反対集会

2012.07.18

 つくづく私は雑食だと思う。食べ物の好き嫌いはまったくないし、音楽や読書についてもまさに雑食。

 今回は音楽の話である。久しぶりに、血湧き肉躍るアーティストに出会った。フランス人のZAZ。32歳。本国ではエディット・ピアフの再来と言われているらしい。

 タワーレコードでなにげなく手に取り、試聴した瞬間、ピアフばりの荒削りな歌が五臓六腑に突き刺さってきた。生命力に満ちあふれた人間の声の力はこういうものかとあらためて思い知らされた。パソコンに打ち込んで作る無機質な曲とは正反対にある。

 ハスキーな声と独特の歌い回し。ジャズもレゲエもシャンソンもクタクタに混ぜ、そのうえで余分なものをギリギリまでそぎ落としたプリミティブな音作りに興奮の連続だ。

 歯切れの良いアコースティックギターのストロークを骨格に、ハーモニカ、ヴァイオリン、電子ピアノなどが要所でからみつく。それらと絶妙に調和しながら、ZAZの歌声は一度聴いたら耳の奥底に貼り付いてしまうほど個性的だ。

 この人は神から選ばれし天才だと思う。その声を通して、“サムシンググレート”の思いを地上の人間たちに伝える役割を担っているという存在。こんな才能に出会うことは、なかなかない。

 世の中にはクラシックしか聴かず、その他のジャンルをバカにしている人がいる。そういう人を見ると、「もったいないなあ」と思う。一方、大衆音楽が好きで、クラシックを退屈な音楽と決め込み、毛嫌いしている人はもっと多い。それも「もったいないなあ」と思う。

 私はクラシックもジャズもロックもポップスもワールドミュージックも好きだ。選択の基準は、自分にとって「いいか悪いか」だけ。

 ZAZが出てきた背景には、フランスの豊穣なミュージックシーンがあることはたしかだ。私が物心ついた頃、フランスやドイツや日本の現代音楽はまったく冴えなかった。

 しかし、90年代以降、ジャズの中心がパリへ移行し、そこにセネガルやマリなどから発生したアフリカ音楽も加わり、フランスの音楽シーンは一気に深みが増した。やっぱり、ハイブリッドは強い。ZAZはハイブリッド(混血)の申し子でもある。

(120718 第354回 写真は、ZAZのCDと波動スピーカー)

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