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紺碧の将

ある植物画の世界

2012.06.09

 植物画は特に好きなジャンルのひとつである。以前も、『シーボルト日本植物図譜コレクション』という本を買おうかどうかかなり躊躇していたことがあった。巻末の記録部分を除けば、わずか250ページほどの図鑑なのに7万円。これは出版社の謀略だ!などと言いながら、結局、買わずにはいられなかった。あのシーボルトが日本滞在中に集めた植物画を収めたもので、たしかに貴重である。絵そのものもいい。

 という具合に、植物画には興味があるし、近年、私の文章を読み続けている方ならすぐにおわかりだろうが、植物の美しさに魅了されっぱなしだ。当代一と言われる女優やタレントよりも、その辺の道ばたに咲いている雑草の方が美しいとさえ思う。おそらくこの意見には、モリソン小林さんも同意していただけると思う(ですよね?)。

 さて、前回の最後にこう書いた。「かんてんぱぱガーデン内に、野村陽子植物細密画館という建物がある。詳しくは、次回にて」

 そう、じつは野村陽子さんという画家のことはそのとき初めて知った。塚越氏も大きなインスパイアを受けられたのだと思う。なんと会社の敷地内に野村陽子さんのための美術館を造ってしまったのである。それも、個人美術館によくありがちなチンケなものではない。自らの名誉のためではなく、心の底から野村さんの絵に感嘆した様子がその建物から窺い知れる。

 野村さんの植物画は、根っこまで克明に描かれている。どれも生き生きとし、時にどう猛な生命力さえ感じさせる。

 「な、なんなんだ! この絵は」

 心の中で絶叫したことは言うまでもない。

 野村さんは美大を出ているとはいうものの、40歳を過ぎてから独学で学んだというのも興味をひいた。

 そんな野村さんの絵を展示するために、伊那食品工業の社員たちは最善を尽くしている。だって、ホラ、右上の写真を見てほしい。床が水をうったようにピカピカでしょう? 床に作品が映り込んでいるほどきれいに磨かれている。

(120609 第346回 写真は村陽子植物細密画館の展示スペース)

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