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うちゅうばくはつがくだんはおとなのかみしばい

2012.03.05

 先日、「うちゅうばくはつがくだん」という、ビッグバンと同時に生まれたと推測される楽団が演じる紙芝居を見た。

 紙芝居と聞くと、「子ども向け」と思って鼻で笑う人もいると思うが、うちゅうばくはつがくだんの紙芝居は、一本の作品がおよそ1時間もあり、ピアノや効果音、さらには男声・女声の歌ありで、まさに「総合芸術としての芝居」。絵は手書きだが、それを大画面のスクリーンに映しだし、大勢が見られる仕掛けとなっている。

 内容は、ひとまず子ども向けにはなっているが、「なぜ生きているか」「何が幸せか」、あるいは「戦争とは」など、本源的なテーマが貫かれていて、見応えじゅうぶんだ。

 主宰者はスズキ・スズさん。紙芝居の師匠につき、かれこれ10年ほど修業を積んでいるという。その鈴木さんが、原作と朗読を担当しているのだが、擬声音を巧みに用い、物語のイメージを奔放に膨らませてくれる。

 当日は台東区のある小学校で上演されたのだが、子どもたちが一気に物語の世界に入っていくのがわかる。あるところでは笑い、あるところでは息を呑んでいる様子がリアルに伝わってくる。スズキさんは途中、朗読を止め、子どもたちに質問をして興味を喚起するなど、その場のコントロールも心得ている。

 なにより素晴らしいと思ったのは、東京大空襲による焼死体の実写真を映したり、命の誕生について子どもたちに答えさせるなど、今までの公教育で避けてきた生死のことについて正面から向き合っていること。

 「さあ、このオタマジャクシはなんていうのかなあ?」と問えば、小学低学年の子どもたちは、隣の子たちと「精子だよね」などと囁きあっている。もちろん、子どもたちはそういうことを色眼鏡で見ていないので、恥ずかしそうなそぶりは見せていない。

 気がつけば、低学年向けの『地球の唄のこだまが響く』と高学年向けの『光のカーニバル』の2作品は、あっという間に終わってしまった。特に後者は、東京大空襲にちなんだもの。昭和20年3月10日、東京は火の海になったが、もうすぐその日がやってくる。

 

 私たちはこの平和な社会に慣れすぎた感がある。あの無差別爆撃で多くの犠牲者が出た。しかし、あの爆撃が犯罪だとは少しも断罪されずに現在に至っている。なぜ、一般人をターゲットとした爆撃や原子爆弾が犯罪ではないのか。戦争に勝てば、すべてが正当化されるのか。

 今、イランの核開発問題で国際社会が揺れている。イランが核をもつことがいいことかどうかと問われれば、悪いと答える人が大半だろう。私もそう思う。

 しかし、イランが悪くて米英仏ロ中がいいという理屈は通らない。拒否権を含め、国連常任理事国は、過剰な権限を持ちすぎている。核保有国は、他国の核保有に対して文句を言う前に、やるべきことがあるだろう。

 いびつな国際社会である。

 

 話が変な方向に行ってしまったが、「うちゅうばくはつがくだん」の紙芝居にぜひ注目を。

http://cosmicceo.wordpress.com/

(120305 第323回 写真は、紙芝居『地球の唄のこだまが響く』の上演風景。台東区田原小学校にて)

 

 

Profile

高久多美男

高久 多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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