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自らクビを絞めるマスコミ

2012.02.02

 今、日本の社会がいい方向へ向かっていると断言できる人は少ないだろう。政治、経済、外交・安全保障、教育、福祉、環境問題など、課題を書き出せばきりがないほどある。

 では、その元凶は何か? 多くの人は「政治」と答えるにちがいないが、私は「マスコミ」だと思う。マスコミが最悪に堕したから、悪い政治家が跋扈する国になってしまった。裏を返せば、志ある政治家が道を閉ざされる社会になってしまった。

 とにかくマスコミの堕落は目を覆うばかりだ。特に週刊誌は、一利くらいあるかもしれないが、その百倍以上の害があるといってまちがいはない。しかも、日本を代表する大手出版社が発行しているという点で、二重に問題である。

 

 3年前、中田宏氏とのある会話から、“日本について学びながら、日本人として誇りをもてるような情報を提供する雑誌をつくろう” と意気投合し、そのことが『Japanist』へと発展した。当時、中田氏は講談社刊『週刊現代』によって徹底的に攻撃された直後だった。看護学校生への猥褻行為、公金横領などのテーマで毎週4〜5ページもの捏造記事を7週連続にわたって掲載された。さらに、全国の新聞広告や電車の中吊り広告にも煽情的な見出しを掲載された。それらを見て、中田宏という政治家(当時・横浜市長)は悪の権化だと早合点してしまった人も多いだろう。やむをえない。あの記事や広告を見てしまったら、そう思うなという方が無理だ。それらのダメージを金額に換算することは不可能だが、おそらく数億円から数十億円の代償に相当するにちがいない。

 もちろん、それらが事実であれば、当然の報いだといえる。いかなる社会的制裁も甘んじて受ける必要がある。しかし、7つの記事は「お見事!」と言う以外ないほど、嘘のオンパレードであった。その背景にある構図は、中田氏著『政治家の殺し方』に詳しいし、このブログでも触れたことがある。

 さて、一連の捏造記事に関する裁判の判決が下された。もちろん、『週刊現代』が嘘で固めた記事を掲載したという事実が明るみになったわけだが、それに対してようやく謝罪記事が同誌に掲載された(1月28日号)。

 以下のような記事である。

 「謝罪広告 当社発行『週刊現代』平成19年11月10日号、同月17日号及び同年12月1日号において、中田宏氏が看護学校生に対してわいせつな行為をしたかのような印象を与える記事、支援者と癒着して公金を横領したかのような印象を与える記事、及び、海外出張をさぼってキャバクラで遊んだかのような印象を与える記事を掲載しましたが、これらの内容は事実に反するものでありました。ここにお詫びいたします。株式会社講談社」

 

 嘘で固めた記事であれほど甚大なダメージを与えておきながら、わずか19行の謝罪広告で済ませてしまおうという卑劣さをどう表現すればいいのだろう。

 マスコミは二言目には、“表現の自由” という言葉を使う。しかし、それは「やりたい放題やっていい」という意味ではない。報道の自由がなかった長い期間において、先人たちが多くの犠牲をはらって手にした“表現の自由” を乱用することは、まわりまわってやがて自らのクビを絞めることになるだろう。なぜなら、行きすぎた報道姿勢に厳罰で対応しようという動きが出てくるはずだから。現に私もそう思っている。メディアの末席に連ねているものの、“表現の自由” には最低限の制約がくわえられるべきだと思っている。

 結局、買う人がいるから作る人・売る人(会社)がなくならない。低俗な週刊誌を発行している会社はかっこわるいとか、そういう雑誌を買うのはみっともないという社会通念が定着すれば、あんなものは自然に淘汰されるだろうに……。そうならないというのは、国民の側にも大きな責任がある。

 

 ところで、冒頭に書いた『Japanist』の最新号(第12号)が発刊となった。当初の理念に従って、粛々と続けて早3年。

 今回は、柳生博氏と中田宏氏の愉しくも充実した対談、山田宏氏の渾身の国家理念、上甲晃氏の身を震わせるような檄文、私が師と仰ぐ田口佳史先生の骨太の日本論、世界の目利きが注目している日本の町工場の底力・エアロコンセプトの菅野敬一氏、イタリアと日本を股にかけて活躍する若きガラス作家・植木寛子氏、保守本流を歩み続ける広島県呉市長・小村和年氏、豊かな感性と小学生とは思えない表現力を示してくれた伊藤愛ちゃん(小学6年生)、すべての日本人の鑑と言っても過言ではない木原伸雄氏の試み、全国の一宮を巡って日本の芯を探る佐藤拓夫氏の一宮探訪記、原伸介氏と鈴木由紀氏による珠玉のエッセイ、足利市の論語教育の取り組み、純米酒を飲んで日本の食文化を見直そうという主旨の連載ほか、熱き志満載である。最終的な評価は後世にまかせるとして、現在、他を見渡して、同じようなタイプの媒体を見つけることはできないと思う。

 日本のマスコミを批判した後に自画自賛するのは少し気が引けるが、あまたの週刊誌と『Japanist』を読み比べてほしい。世間一般の常識でカテゴライズすれば、両方とも「雑誌」である。

(120202 第315回 写真は『Japanist』第12号の表紙。写真はエアロコンセプトのバッグ)

 

 

 

Profile

高久多美男

高久 多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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