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紺碧の将

南の島のユルユルタイム

2011.09.12

 自分にとっても意外なことだが、この歳になって初めて沖縄を訪れた。次号『Japanist』の取材で石垣市の中山義隆市長を訪ねることになったためである。

 石垣島は日本本土よりも台湾にずっと近い。あの尖閣諸島も石垣市の市域に入っている。あったか〜いところである。予想はしていたが、すべてにおいてユルユルでいかにも私好みだ。

 今回の取材のために現地のカメラマンに撮影をお願いしたのだが、現れた姿を見てビックリ。短パンにサンダルだった。そのお姿で市長室に入って行っても、誰も不思議に思っている様子はない。

 ちなみに、そのカメラマン、北島清隆さんというのだが、なかなかイケメンで、ユニークな人生を歩んでいる。生まれは東京。あることがきっかけで石垣島に惹かれ、移住。以後、リゾートホテルの従業員などを経て、フリーのカメラマンに。その後の活躍ぶりは以下のサイトにて。

http://www.k-kitajima.net/

 取材の後、いっしょにソバ屋に行き、八重山ソバを食べた。

 

 私は日頃たいそうなことを言ったり書いたりしているが、それはあくまでも私という人間の一方の面でしかない。あとの半分は自分で言うのもはばかられるが、じつに享楽的かつ楽観的である。

 え? 半分ではなく、すべてがそうだって? そう言われてしまうとミもフタもないが、当たっているだけに返す言葉もない。

 また、私は気候に大きな影響を受ける人間だということが今回の石垣行きでいっそうはっきりした。例えば、読みたい本や聴きたい音楽が変わってしまうのだ。

 今回、村上春樹のエッセイ集『おおきなかぶ、むずかしいアボカド』と『中江藤樹 一日一言』を持参した。前者のエッセイ集は笑ってしまうくらいばかばかしいものだが、石垣島ではすんなりと心に入ってき、あっという間に読み終えたので、「さて次」と思ったのだが、中江藤樹の正しい言葉が目に飛び込んできたとたん、体が意気消沈し、反射的にパタリと閉じてしまった。石垣のゆる〜〜〜い空気感に、あの禁欲的かつ正しい言葉の数々はまったくフィットしなかったのだ。ふだんは、朝一番に「論語」を朗読したりYOU TUBEでNHKラジオ体操をやっているような生活なのに、ところ変わればいろいろ変わる。不思議なものだ。

 音楽もそう。いつものようにi Podを持参したが、クラシックはまったく聴く気になれなかった。そのかわり体の奥底から欲したのは、オールマン・ブラザーズ・バンドやビーチ・ボーイズなどの南部から東海岸の音楽。ほろ酔い気分で夜の海岸を散歩し、それらの音楽を聴きながら港のベンチに仰向けになって潮風に肌を撫でられながら夜空の星を眺めていたら、いつしかトリップしていた。あの感覚はちょっと言葉では表せないな。

 と、そこであらためて思った。今回、大震災で見せてくれた東北の人たちの忍耐力、あれは気候に培われていると再認識したのである。南の国の人たちはあんな風に我慢できないかもしれない。

 私の友人で、このブログにもたびたび登場する高久和男さんは、いわゆる「超ユルユルタイプ」だが、いずれリタイヤしたら石垣に移住したいと以前から言っている。ああいうタイプの大人にはぴったりの島だと思う。

 いいな、石垣島。また行きたくなってしまった。ただし、難を言えば、食べ物がピンとこなかったこと。東南アジアはどこへ行っても美味なのに、沖縄は全般的に雑ぱくだ。

 どうしてなのだろう? 食材だけの問題ではないような気がする。

 

追記:なでしこジャパン、おめでとう。試合前の国歌演奏の際、ベンチの選手も含め、全員が胸に手をあてている。男子も少しずつ増えてきたが、以前はカズや三都主など一部の選手だけだった。佐々木監督がいかに素晴らしい指導をしているか、それだけをとってもわかる。

(110912 第280回 写真は竹富島のコンドイビーチ)

 

 

 

 

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