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第8話 夢十夜より第一夜

2020.01.30

 

語り・鈴木由紀 著者・夏目漱石 挿絵・矢崎悠美

 

第一夜から第十夜からなる短編小説『夢十夜』が夏目漱石の作と知った時、その意外性にとても驚きました。

第一夜から第十夜は、すべて奇妙な「夢」ばかり。

なんでもその夢は、漱石が41歳の時に見た「十の夢」であり、「100年後に、その真実が理解されるだろう」と、漱石自らが宣言したとかー

実にミステリアスで、わくわくさせられますね。

 

その中から第一夜を選んだのは、一番わたしの心の琴線にふれたお話だったから。

妖艶で透きとおるような美しさと儚さが、随所に散りばめられ、絶妙な描写で綴られています。

 

死んだ恋人は白い百合の花に輪廻転生し、 百年目の再会が叶ったのでしょうか… 読み終えたあとに残る、余韻までもじつに美しい。

 

最近、本を読む時間が少なくなりましたが、あらためて本はすごいなと思います。

そして素敵な本に出逢うたび、「まだまだ知らない世界がたくさんあるのに、それを知ることなく人生を終えるのはもったいない!」と痛感させられるのです。

数年前、幼い頃読んだ「ああ無情」の原本が「レ・ミゼラブル」と知り、それを読み終えた時の強い衝撃と大きな感動は、今でも鮮明に甦ります。

ラストは誰にも邪魔されない深夜まで待ち、号泣しながら読み終え、興奮冷めやらずにとうとう眠れなかったほど。もちろん、生まれ初めての経験でした。

その後すぐに読んだ「モンテ・クリスト伯」で、わたしは完全にノックアウト! 本によって人生観が変わるというのは、ほんとうにあるのだな…と確信したのです。

 

日本文学にもまた、西洋文学にはない魅力があります。 今回の「夢一夜」は、まさに日本人独特の感性。 現実離れした奇妙な話ゆえ、初めは??と感じる方が多いかもしれませんが、時には異質な世界に入り込み想像を膨らませ…愉しんでみてください♪

 

鈴木由紀

Profile

鈴木 由紀

鈴木 由紀

会津若松市生まれ。

創業延宝元年の老舗和菓子屋女将を経て、2014年、商社社長に請われ、人事取締役として入社。

5年の歳月をかけ自動車ワイヤーハーネス用テープ「YUKITAPE」を開発(日産・ホンダ車に採用)。

・公益財団法人「独立書人団」準会員
・フーガ、ジャパニストにエッセイを連載
・熊本、奈良、都内、小山、福島等での講演を経験
・著者/「ちいさな祈り」「小さなともしび」

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