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第7話 蜘蛛の糸

2019.12.27

 

語り・鈴木由紀

幼きころ、祖母が話してくれた「蜘蛛の糸」は、あまりにも強烈でした。
歳を重ねた今でさえ、蜘蛛を見ると極楽から降ろされたひと筋の蜘蛛の糸が目の前に現れます。
凄い形相の極悪人、血の池、針の山、というオドロオドロした情景と、この上ない美しい蓮の花の香り漂う中に、やわらかな物腰のお釈迦さま…
まるで見てきたかのように、とても鮮明に浮かんでくるのです。
芥川龍之介の話は奥深く、様々な解釈がされていますが、祖母の教えは至って単純明解。
「自分だけが良ければ、人はどうなっても構わないという人間は、決して極楽には行けないんだよ」
幼心にも合点がいったものでした。
地獄とはなんと恐ろしいところだろうと震え上がる一方で、お釈迦さまは天上から一人一人をよ〜く見ているのだなぁと感心しました。
そしてお釈迦さまは、どんな悪人でも善人になれるチャンスをくれるんだ!と、わくわくしたりもしました。
しかし、その改心するチャンスは一度きり。
有難や!と感謝する心なくば、また地獄へと落ちてゆく…。

この蜘蛛の糸のお話は、「お天道さまはみていなさる」という言葉と共に、今も変わらず心に焼きついて離れないのです。

 

鈴木由紀

Profile

鈴木 由紀

鈴木 由紀

会津若松市生まれ。

創業延宝元年の老舗和菓子屋女将を経て、2014年、商社社長に請われ、人事取締役として入社。

5年の歳月をかけ自動車ワイヤーハーネス用テープ「YUKITAPE」を開発(日産・ホンダ車に採用)。

・公益財団法人「独立書人団」準会員
・フーガ、ジャパニストにエッセイを連載
・熊本、奈良、都内、小山、福島等での講演を経験
・著者/「ちいさな祈り」「小さなともしび」

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