夢中になって仕事をしているうちに状況が少しずつ変わり、気がつくと自分の想像を大きく越えた結果が現れていた――。そんな思いのする第三回フーガ・パーティーだった(1月27日、於:ホテル東日本宇都宮)。
今回は、故・見川鯛山の追悼会と藤原万耶氏の新著出版祝賀会も兼ねており、100名を越す方々が一堂に会すこととなった。
主催者あいさつの際、壇上から会場を見渡し、その顔ぶれに感心してしまった。芸術家、経済人、政治家など職業を問わず、老若男女が集っていたからだ。そして、そういう参加者をつないでいるものが、まぎれもなく小誌であるという事実に思い至り、ある種の感慨に耽ってしまったのである。この出版不況のおり、しかも地方都市を舞台に4年間毎月発行し続けられたことが素直に嬉しかったのである。
話は変わるが、日本の高度経済成長は、東京の一極集中という効率的な手法によるところが大きい。それは、欧米へのキャッチアップにすこぶる有効であった。多くの商品やサービスを規格標準化し、全国一律の均質的教育により国民の価値観まで標準化し、経済の中枢管理機能や情報の発信機能を東京一極に集中することにより、きわめて効率のよい均質的な市場と情報の環境を整えたのである。
現在、出版社の大半が東京に集中しているのはそのためである。大阪で作って大阪で販売する本も、まずは東京の取次を通さなければならない。そのルートからはずれるのは取次を通さない地方出版物だけだ。それらの多くはタウン誌と呼ばれ、どうしても飲食店の情報や身近な人たちの情報をたくさん掲載することにより広告収入を増やすという手法に頼らざるをえない。
小誌「フーガ」は、全国誌でもなければタウン誌でもない。宇都宮という一地方都市を基盤に発行し続けている文化誌だが、このようなタイプの地方誌は全国どこの都市にもないだろう。地域の情報はごくわずかで、大半が文化人などへの取材記事やエッセイなどの類いである。知的好奇心の高い人だけに読者を絞り込んでいるので文字の量も多く、誰もが気安く読める内容ではない。毒気のある主張も盛り込んでいる。それでも徐々に愛読者が増えてきた。関東エリアだけでなく、関西以西に住む人にもたくさんこの雑誌を読んでいただいている。
そういうことをあらためて再認識し、誇らしい気持ちになったのである。そして、その誇りはそのまま会場に来ていただいた方々への感謝の気持ちと重なった。なぜなら、特集などで紹介したすべての人たちや執筆者やスポンサー、そして読者の多くは地元宇都宮とその近郊に住む人たちであるからだ。だから、私は思わず言ってしまったのである。「こういう雑誌を発行している自分たちを誇りに思うし、それを支えていただいている皆様を誇りに思う」と。自分や周りの人たちを誇りに思えるって、堂々と生きていく上でとても大切なことだと思う。
惰性で続けるくらいなら廃刊すべし、と肝に銘じ、一球入魂の心意気で続けてきた。隅々までとはいかないまでにも、要所要所にはバカと言われても仕方ないくらいに大きなエネルギーを費やしてきた。その甲斐があったと心底思えたのである。
2時間半以上にわたるパーティーの間、自由歓談の時間はわずか30分しかなかった。それでも多くの人に満足していただけたのは、内容が充実していたからだろうと勝手に思っている。
パーティーはざっとこんな内容であった。
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主催者あいさつ |
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来賓あいさつ=作曲家・船村徹氏 |
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見川鯛山追悼式=藤原万耶氏のよる朗読と黙祷 |
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藤原万耶氏著『小さなマーヤの哀しい踊り』
(小社刊)出版のお祝い |
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来賓あいさつ=福田富一栃木県知事 |
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乾杯=高橋克法高根沢町長 |
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歓談 |
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特集記事で紹介した方々の紹介とスピーチ
坂田甚内、ん太郎、小田島建夫、音羽和紀、長谷川哲雄、
佐藤康之、宮原隆岳、宮原楓翠、小川三夫、川上裕之、
船村徹、林香君、松本哲男、赤澤寧生各氏 |
| 9 |
和久文子氏による箏の演奏 |
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走裕介氏(船村徹氏の内弟子)の歌 |
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カメラマン・渡辺幸宏氏の紹介 |
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中閉め=山口慶之助氏 |
(※総合司会=小田島建夫氏)
なぜ、あれほど清々しい時間だったのだろう。途中、何度も考えた。
私なりの結論は、こうだ。まず、成功した人、頑張っている人を讃えるという空気に満ちあふれていたこと。
ややもすれば、日本は嫉妬社会とも言われる。最近は格差が広がっており、一億総ムラ社会も崩れつつあるが、まだまだ人と同じであることを望む人が多い。それは、成功者に対する妬みや嫉みにつながる。成功した人たちへのバッシングは実にみっともない。その点、その日は結果を出している人たちへの賞賛とねぎらいの拍手に溢れていた。ポジティブな空気はそのようにして生まれたのだ。成功した先達を若い世代が追いかけていくという図式は、フーガというネーミングの意図するところでもある。
第二に、職業や年代を超えて、ある共通の価値観があったということ。自分の目標や夢を定め、それに向かって一心不乱に突き進む、そういう状態こそ人間がもっとも美しい時であると私は信じているが、来場した方々の大半がそういう夢なり目標を携えており、それがために、職業や年代を超えてすんなりとうち解けることができたのではないか。
第三に、利害関係を超越した集まりであったこと。どうしても、ビジネスのからんだパーティーは営業上の機会創出ととらえられやすいが、先日のパーティーはそういう雰囲気がほとんどなかったように見受けられる。
以上三点、私なりに感じたことを列記してみた。
さて、それはそれとしていつまでこの全力疾走は続けられるであろうか。「フーガ」は、出版不況が加速する現代へのささやかな抵抗でもある。 |
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高久多美男 |

船村徹氏 |

藤原万耶氏・米倉万美氏 |

福田富一・栃木県知事 |

坂田甚内氏・ん太郎氏 |

長谷川哲雄氏 |

川上裕之氏 |

宮原隆岳氏・宮原楓翠氏 |

林香君氏 |

和久文子氏とその弟子 |
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小田島建夫氏 |

朗読する藤原万耶氏 |


藤原万耶氏に花束贈呈(プレ
ゼンターは編集部・岩本美香) |

高橋克法・高根沢町長 |

音羽和紀氏 |

佐藤康之氏 |

小川三夫氏 |

松本哲男氏 |

赤澤寧生氏 |
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