「平成の寺子屋」で日本人を鍛え直す
日本の危機は経済の危機でも政治の危機でもない、日本人の精神そのものの危機である。松下幸之助はじめ、憂国の士たちはそのような言葉で日本の現状を言い当てている。
精神の危機を克服するには幼少時の家庭教育(躾)と学校教育の見直しが必須だが、現実には改善どころか悪化の一途をたどっていると言っていい。人間としての規範がなっていない親が子どもを諭すことなど不可能だろうし、いまだ日教組の思想が蔓延している学校教育の場で日本人の精神を鍛え直すなど、夢物語といっていい。
江戸の教育のように、人物鍛錬に重きをおいた教育を日本中に広めるにはどうすればいいのだろうかと思っていた矢先、ありましたありました、素晴らしい団体が……。
偉人伝講座を中心とした「あちこちde寺子屋」を実施し、 「現代版寺子屋」の設置を全国に提案している寺子屋モデルという団体が、平成17年、福岡で始まったのである。
会の主旨に次のような一文がある。
わが国の長い歴史を辿れば、心引かれる多くの先人・偉人に巡り会います。
その生き方を学ぶ所から私たち自身の「お手本」を見出し、それを次の世代に伝えていきたい。
日本への愛情と誇り、そして日本人の生き方を再発見する集いを皆様と共に作りたいと思います。
精神の背骨を鍛えるには、自分が依って立つ国、郷土、家族の歴史を知ることが必要不可欠だが、現在の公教育における歴史教育は年号や事象など、インターネットで調べれば即座にわかるような知識の暗記ばかりに目が向けられている。少しでも「日本人の心」に踏み込んだ教科書は弾劾されるような風潮だ。そのような状況下、江戸の教育を再評価し、現代の日本人に必要なことを学ぶ、このような動きはじつに時宜にかなっている。
たとえば、寺子屋モデルの社員研修講座は、「偉人の生き方」から、 自分自身の価値を見つけ出す研修を行っている。 「我が家の家訓作り」「我が社の社訓づくり」では、社員が共通のテキスト(主偉人伝)を課題として読み、 簡単な講義の後、お互いに意見を述べあいながら、「偉人の生き方」を味わい、自らの生き方の手本としている。
幼稚園・保育園では、園児向けの偉人伝講座を実施し、講義の最後には必ず原文による「偉人の言葉」を紹介し、繰り返し声に出して読ませることで、暗唱させている。
また、寺子屋モデルでは挨拶から始まり、挨拶に終わるなど、情操徳育に重きをおいた 生活塾も実施している。
さらに、塾では単なる暗記による学習をとらず、古典の素読暗唱や100ます計算、昔の遊びを取り入れている。 学習面では、国語と算数を扱っているが、「国語力こそすべての学問の基本」という考えに基づき、 特に「国語力の充実」をはかり、読解・作文の力を養っている。
このような寺子屋が日本中に広がった時、日本は再生の上昇気流にのるにちがいない。
代表世話役社長:山口秀範プロフィール
昭和23年生まれ。早稲田大学政経学部卒後、大成建設に入社し、国際事業に従事。その後、ロンドンビジネススクールに留学するなど、国際的な視野を養いながら、日本人の特質を学ぶ。複数の要職を歴任。福岡県在住
関連サイト
●寺子屋モデル 公式HP 【http://www.terakoya-model.co.jp/】