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Interview Blog Vol.36

自分自身を客観的に見た時、その姿に魅了されるような人間でありたい。

尚仁沢アウトドアフィールド阿久津裕さん

2018.02.21

日本名水百選に選ばれた尚仁沢湧水から、ほど近い場所にある尚仁沢アウトドアフィールド。管理釣り場だったこの場所を前オーナーから引き継ぎ、釣りだけでなく、さまざまなアウトドアを快適に楽しめる拡張作業をほぼ一人でこなしてきたという阿久津さん、現在に至るまでのお話をお聞きしました。

常に新しいものを作る

美しい自然に囲まれた素晴らしいロケーションですね。キャンプスペースも多彩で、ドッグランやカフェなども併設されています。

 前オーナーから引き継いだ当初は、鬱蒼とした森の中に池だけがある管理釣り場でした。

 自分で経営するなら釣りだけではなく、総合的にアウトドアを楽しめる施設にしたかったので、名前もフィッシングエリアではなく、アウトドアフィールドにしたんです。

 池から広げていって、森を切り拓きながら、6年かけてコツコツと。ようやく今の形になりました。

拡張作業はほぼ一人で行っているとお聞きしました。これほどのスペースになるまで森を切り拓くのは相当大変だったのではないですか。

 この仕事を始める前は設備エンジニアを10年、その後も工事関係の仕事をしていたので、その経験が活きました。

 大変ですよ。常にどこかに手を入れてますから。私自身、釣りやアウトドアが好きなんですけど、趣味に費やせる時間はほとんどないです。

 クタクタになって、一つの作業が終わると、「ここまでできたしもう充分、これ以上は何も作らないぞ」って思うんです。でもすぐにやりたいことが頭に浮かんで、結局、常になにかやっていますね(笑)。

完成されているように見えますが、まだまだやることがあるのですね。

 これで「完成」ということにして、もっと楽に営業をしていくこともできます。でもお客様を飽きさせたくないんです。現状維持だとお客様も、私自身も飽きちゃいますから。

 常に新しいものを考え、それをいかに早く仕上げるかがポイントだと思うんです。一週間前に来たときはなかったものが、今日来たらあった! みたいなね(笑)。そういう演出をして、お客様に感動してもらいたいんですよ。その想いが根っこにあるので、結局、頭と身体が動きだしちゃうんです。

 大変なんだけど、楽しさの方が勝っているってことなんでしょうね。

人生の大きな転機

釣りやアウトドアはどのくらいの時期から興味を持たれていたのですか。

 小学校3年生くらいから釣りを始めて、釣りに行く先でキャンプをしていました。ただ、あくまでも趣味ですから、それがきっかけでこの仕事を始めたわけではないんですよ。むしろ自営業なんて絶対にやらないと思っていました(笑)。

学生の頃に思い描いていた将来と違う道を歩んでいるということですか。

 学生時代は野球をやっていて、プロとまではいかなくても、実業団チームに入れるレベルはあり、その道を歩んでいくだろうと思ってました。

 でも高校卒業が近い時期にデスモイド腫瘍という100万人に1人が発症する稀な病気にかかってしまったのです。

 治すには腫瘍を取るしかないのですが、周りの筋肉ごと取ってしまうので、もう選手を続けられる体じゃないですよね。再発もするので、そのたびに取るしかない。だから今も左肩は骨しかないんですよ。

野球をあきらめなければいけないという現実は辛くありませんでしたか。

 辛くはなかったですよ。手術後の自分の姿を鏡で見た瞬間に、スポーツの道で生きていける体じゃないって、理解できましたから。「うん、終わり」って感じです。

 不思議と悔しい気持ちは湧いてこなかったんですよね。

気持ちの上では整理ができても、実際には大きく進路が変わったわけですから、就職も含め大変だったのではないですか。

 1990年代、経済は大荒れで、特に建設業界はめちゃくちゃな時代でした。就職氷河期の中、なんとか地元の会社に就職できましたが、その後も何社か転々することになって……。そのうちに友人が、「投資をするから管理釣り場を経営してくれないか」という話をもちかけてきて、一緒に経営することになったのです。でも結局そこも辞めなくてはいけなくなりました。共同経営だと考え方のズレとか、いろいろあったんですね。

 その後、前オーナーからここ(現アウトドアフィールド)を引き継いでくれないかという話がきて、始めることになったのです。

引き継ぐことを決断したのは自分でやってみたいという気持ちが大きかったからでしょうか。

 実は他にもいい就職の話があり、会社員に戻ろうと思えば戻れたんです。でもなぜかこの場所を引き継ぐ方を取ってしまった。

 今考えると、友人と経営していた管理釣り場を辞めたことがきっかけだったと思います。その友人に対しての意地があったんじゃないかな。つまらない理由ですよね(笑)。

 でも、その頃の自分にとっては、気持ちを奮起させる“仮想敵”っていうのが必要だったんですよ。

 それがなかったら普通に就職していたでしょうね。だって今やっているだけの労働力と時間を使うんだったら、そっちの方がお金を稼げますからね(笑)。

その時にこの道を選んで、今はよかったと思いますか。

 病気で野球の道をあきらめたときもそうでしたが、もし、違う道を進んでいたらどうなっていたかなんて考える必要ないですよね。大切なのは今ある現実とこの先の未来ですから。この道を選んでよかったか、それとも後悔したかを考えるよりも、今歩んでいるこの道をどうやって良いものにしていくかですよ。

人を魅了するような人間でありたい

こだわっていることはありますか。

 自分自身を客観的に見た時に、「カッコイイことをやっているな」とか「楽しそうなことをやっているな」って、そう見えるような人間でありたいですね。人を魅了するっていうんでしょうか。

 現状維持が一番ダメなことだと思っていますから、常に新しいことをやり続けたいのです。

このお仕事のやりがいはどんなところに感じますか。

 この仕事ってホントに大変なんですよ(笑)。特に冬場は雪が降れば一日中雪かきですし、池は凍りますからね。2時間おきに起きて、ボートで氷を割っておかないといけないんです。人を楽しませるってこんなに大変なのかって思いますけど、でも来てくれたお客様が楽しんでいる姿を見れば報われますし、それが一番のやりがいですよね。この世界でしか得られない充実感があります。

今後の展望についてお聞かせください。

 もうすぐ50歳になります。それまでには完成形のイメージに近いところまで持っていきたいですね。その後、このアウトドアフィールドをどうやって残していくかを考えています。体力的にどうしても限界がきますから、そうなる前に、引き継いでくれる人を探すか、地域で残してもらえるような道を探すか、考えていきたいと思います。

Information

綺麗な水と緑に囲まれたフィールドでは、キャンプ、釣り、ドッグランを中心にさまざまなアウトドアが楽しめます。

 

【尚仁沢アウトドアフィールド】

〒329-2211 栃木県塩谷郡塩谷町鳥羽新田339-8

TEL.0287-45-2855

ホームページ http://www.shojinzawa.com

 

 

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