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Weekly Interview

人の数だけそれぞれの人生があり、物語があります。 本ブログでは週に一回、インタビュー形式でさまざまな物語を紹介します。

Interview Blog Vol.04

たくさんの人とのつながりが、作品に力を与えるんです

陶芸家明石庄作さん

2017.05.26

明石庄作さん

陶芸と師との出会い、20年の研鑽

陶芸の世界に入るきっかけは何だったのですか。

  父が人間国宝の濱田庄司先生と仕事の関係で親交があり、益子に引っ越した時に濱田先生の近くがいいということで、隣に家を建てたのです。

 子供の頃、私は先生の家によく遊びに行ったのですが、そこで先生の仕事を見学させてもらったり、道具を触らせてもらっていました。それが先生の目に止まったようですね。

 先生は父に「この子は焼き物が好きなようだから、試しに一年だけ陶芸をやらせてみないか」と言ってくれたのです。

 それと、当時は中学を出たら東京で働いている父の稼業を継ぐつもりでしたが、実はあまり東京にいいイメージがなくて行きたくなかったのです。だから先生がそう言ってくれるなら1年くらい益子にいてもいいかなって軽い気持で弟子入りしたんです(笑)。

弟子入りしてからの生活はどうでしたか。

 朝早く仕事に行って、帰ってくるのが夜中の2時とか3時なんです。先生は昼間、来客の応対で陶芸の仕事はできないですから。夜の食事が終わってから、陶芸の仕事が始まるわけです。

 これは大変な世界に入ってしまったなと思いました。でも先生は15歳の子供だった私が飽きないように、いろんな話を交えながら丁寧に辛抱強く仕事を教えてくれました。かわいがってくれたのだと思います。私が一番最後の弟子でしたからね。

  だから辞めずに続けられました。今でも毎朝、先生に感謝をして、写真に手を合わせています。

明石さんは20年、濱田窯で研鑽をつんでから独立されています。その間に独立は考えなかったのですか。

 もちろんいつかは自分の窯を持ちたいと思っていました。でも先生は常に忙しかったので、お手伝いすることがたくさんありました。それにその間にも自分の作品を作らせてもらえましたから。20年間でほんとうにいろいろな経験をさせてもらいました。だから今でも陶芸家としてやっていけるのだと思います。

陶芸家としての欲求、新しいことへの挑戦

明石さんの作品にはきれいな青色の物がありますね。

明石庄作さん そうですね、これは塩釉と言って釉薬の代わりに塩を使う技法なのですが、インパクトが強いですから、印象に残るのでしょうね。全部それでやっていると思われることがありますよ。

 この技法はもともと西洋のもので、濱田先生が日本ではじめて用いたのです。それからまだ60年しかたっていません。まだまだ工夫や開発の余地がある技法なんです。

この技法は作品の完成率が低く、専用の窯も必要でかなり大変なようですが。

 そのとおりです。でも不思議なことにリスクが大きいものほど面白い作品が作れるんですよ。だからそれは覚悟の上で挑戦をしています。失敗するリスクよりも、面白いものを作りたいという気持ちが上回ってしまうんです(笑)。

 塩釉の技法は尽きることはないですよ。試行錯誤のしがいがこれほどあるものはありません。

人とのつながりを大切にしていきたい

これまで苦労をしたことはありますか。

 この道でやっていけると思えるまでに10年かかりました。独立したばかりの頃は人も来てくれないし、個展の話なんてもちろんありませんでした。作品が売れなくて、お金も底を尽きました。やめようとは思いませんでしたけど、子供がいましたから、働きながら陶芸を続けるしかないかなと、真剣に考えていました。妻もよく支えてくれました。

2011年に東日本大震災がありました。相当な被害に遭われたと思いますが、当時のお話をお聞かせください。

 この年はちょうど私の作陶50周年にあたる年で、それに向けた個展の準備をしていたのです。一言でいうと「全滅」ですね。

 窯も、それまで準備していた作品も全部潰れてしまった。だけど個展はもう決まっていることですから、それを中止にするわけにはいかない。嘆いてる暇なんてありませんでした。

 とにかく一番に窯屋さんに連絡をしてなんとか新しい窯をつくってもらいました。窯ができるまでは片づけと新しい作品をつくらなければいけない。片付けだけで丸3日かかりましたけど、娘の旦那さんの会社の人たちが大勢手伝ってくれて助かりました。

 他にもたくさんの人が助けてくれました。だから余計に、怒るよりも落ち込むよりも、無我夢中でやりきれたのだと思います。

 倒れるんじゃないかって心配されましたけどね(笑)。

いざという時にかけつけてくれる人がいる、そのつながりは先生の財産だと思います。

 ほんとうにありがたいことだと思います。子供にも弟子にも、人とのつながりは大切にしないと自分自身が大切にしてもらえないのだと常に教えています。

 だから私の工房にもお客様がきたら最善のもてなしをする。それはずっと大切にしていることなのです。

 陶芸をやっていて何が一番面白いか、それはたくさんの人と会って話ができることです。色んな人にお世話になって、教わって、パワーをもらって……。陶芸ってそういう経験を昇華して自分の体から出るものですからね。

 これからもその心を忘れずに、作品を作り続けていきたいと思っています。

INFORMATION

インタビューに出てきた塩釉の作品はもちろん、青磁、刷毛目、鉄釉、流しがけ、上絵付けなど多彩な、陶芸家 明石庄作の作品。

人間国宝、濱田庄司の弟子として磨いてきた技法を守りながら、常に新しいものへ挑戦を続ける、益子焼の姿がここにあります。

 

【陶工房あかし】

〒321-4217 栃木県芳賀郡益子町大字益子3378

TEL.0285-72-3769

 

明石庄作さん

 

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