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No.61

風のように 山のように
柿沼翠流、書の桃源郷へ。

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 柿沼翠流を、「鬼の柿沼」と形容する人がいる。

 

 それも無理からぬ話だ。金剛力士像のような面もちで仁王立ちする姿は、たしかに鬼の気配を漂わせる。なにごとも妥協を許さない柿沼翠流に畏れおののいた人も少なくないにちがいない。

 

 しかし、「鬼」と「仏」は表裏一体であるというのも、まぎれもない事実である。

 人の数倍もの熱い愛情なくして鬼にはなりきれない。

 

 亡き妻は、かつて夫を評してこう言ったことがある。「人の三人分生きている」。教師として、陸上競技の指導者として、そして書家としてそれぞれに日々完全燃焼しているという意味だった。

 「どうせやるなら日本一を目指せ!」が口癖だったし、今でもそうだ。それはかつての教え子や息子・柿沼康二に限らず、自分自身への叱咤の言葉でもある。

 

 制作時は全身を気迫の塊とさせ、ブルドーザーのように突進する柿沼翠流だが、自分を見る眼は厳しい。

 「いまだ一・五流の人間でそれ以上はなかなかのぼることができず、敗北感を味わっています」

 清冽な言葉である。

 常に登るべき山を自分に課し、休むことなく努力精進する姿に、青年のイメージも重なるのである。

 

 風のように軽やかに変化し、山のようにどっしり構えて右往左往しない、その独特の生き方の片鱗を紹介したい。

●企画・構成・取材・文・制作/髙久 多美男
●写真/渡辺 幸宏

 

● fooga No.61 【フーガ 2007年 2月号】

●A4 約90ページ 一部カラー刷り

●定価/500円(税込)
●月刊
●2007年1月25日発行

 

おかげさまをもちまして、完売いたしました

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