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紺碧の将

日本史の生き証人

2011.04.05

 例年なら今頃、日本列島は桜の話題でもちきりである。なにしろ、天気予報に「桜前線」なるものが現れ、お天気お姉さん(あるいはオジサン)がなにくわぬ顔で桜の開花予報などを報じている。日本にきた外国人が首をかしげるシーンである。その重大さは「日本村」の村民にしかわからないだろう。

 ところで、日本三大桜というものがある。福島県三春町の瀧桜、岐阜県本巣市の薄墨桜、そして山梨県北杜市の山高神代桜である。

 このブログでも書いた通り、昨年念願の薄墨桜を見ることができ、その3つすべてに対面することができた。

 では、ニッポンイチの桜はどれだ? と問われれば、私は迷うことなく「山高神代桜!」と答える。樹齢1600年とも2000年とも言われ、日本武尊が植えたという伝説さえある。右上の写真でもわかるように、真ん中の幹は途中で崩れ、今や幹というより大きな岩石の化け物という風体である。横に張り出した枝はいくつもの棒に支えられ、かろうじて宙に浮いている。神々しいともいえるし、痛々しいともいえる。

 しかし、毎年この季節になると、艶やかな花を咲かせる。それは実にあっぱれであり、けなげでもある。私はこの神の化身とも言える老体に2度、対面が叶ったが、そのオーラは並大抵ではなかった。きっと、日本の歴史をずっと見てきたのだろう。大化の改新も源平合戦も南北朝時代も戦国時代も関ヶ原も江戸の泰平も明治維新も大東亜戦争も。そして、このたびの東日本大地震も。

 思えば、この老体、何度も台風や地震に遭遇しているはずである。なのに、なぜ生き存えている? その生命力の源は何?

 なにがあっても再起する日本人。そのシンボルみたいな存在が、この山高神代桜翁である。どうか、東北の被災地の方々に一日も早く安息の日が訪れるよう、取りはからってもらいたいものだ。

(110405 第241回 写真は山高神代桜)

 

 

 

 

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