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紺碧の将

美しい国へ

2011.02.27

 先日、衆議院議員会館で安倍晋三元総理大臣に取材してきた。次号の『Japanist』に掲載するためである。

 昨年の終わり頃、都内の天ぷら屋で安倍氏とごいっしょする機会があった。

 一度国家のトップに上り詰めた人だが、まったく驕ったところがなく、態度はジェントルマンそのものだった。そのわりに信念は強く、やっぱりこの人は保守本流の人だと思った。次は取材で会いたいと思っていたのだが、はからずもこんなに早く実現してしまったというわけ。

 安倍氏の著した『美しい国へ』と山田宏氏の『「日本よい国」構想』は、私にとって政治家が書いた本の双璧となっている。いずれも日本に対する愛情、そして「日本をこうしたい」という思いに溢れている。自分の利得にしか興味のない政治家がゴマンといるが、その中にあって彼らの大志はひときわ煌めきを放っている。

 

 「美しい国」。

 いい表現だ。当時はわかりにくいと批判されたが、それをわかりにくいと批判する人の頭をかち割って見たいものだと思っていた。データとして計数化されないとわからないというおバカさんの頭はどうなっているのだろう、と。

 理念というものは感性に訴えるものだ。感性でしか理念は示せない。その理念が定まったとき、そこに至るアプローチの具体案として初めて科学的根拠として計数が出てくる。

 会社もそうだろう。会社の理念は? と問われ、年商○億円です、と答えているような経営者はいない。いたとしても、そういう会社はすぐに市場から退場を余儀なくされる。

 国家ならなおさらのことだ。『美しい国へ』には外交・安全保障、教育、憲法、靖国問題(実際に靖国問題という問題はないが)、年金、アジア情勢について詳しく書かれているが、年金の項目以外は全面的に賛同できる。

 

 日本の政界は近いうちに必ず再編が行われる。いや、行われなければ破綻に行き着く。

 その時のキーマンの一人が安倍氏であると私は思っている。

(110227 第232回 写真は取材風景。撮影:林渓泉)

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