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紺碧の将

本物とまがいものとそうでないもの

2011.01.10

 世の中は、圧倒的多数のまがいものとほんの少しの本物、そして、そのどちらでもないものによって構成されているというのが私の見方だ。今まで、さまざまなものに興味をもち、堪能し、さまざまな人に会ってきた結果、そういう結論に至った(自分が本物かまがいものか、あるいはどちらでもないかは言及しないが)。

 だからこそ、本物との接触は私を幸福にしてくれる。

 

 かねてから書き進めてきた拙著『本物の真髄』がもうすぐ校了となる。

 京都のパティシエ・西原金蔵氏の人生観、仕事観、創作の秘訣などを網羅し、タイトルの通り、本物であることの真髄とは何かを問うた書である。

 自画自賛するつもりはないが、この時代に本物を貫くとはどういうことか、わかりやすく表現した本になると自負している。

 西原氏は、かなりの部分で世の中の流れとは一線を画しているのに、結果的に成功しており、ここが最も大事なことだが、本人は思いっきり人生を謳歌している。

 「買いたいという人がいくらいても、自分が納得できる以上の量は生産しない」「原価計算はしない」「旬の先取りはしない」「いつか壁にぶつかるはずだといつもビクビクしている」「自分は甘やかされて育ったから、基本的に甘い」「創業のときに引き際を決めている」「味は記憶の中にある」「配合と作り方は盲信しない」など、独特の人生観、価値観に貫かれているのに、本人はいたって自然体で、いつも和やか。まるで自然の移り変わりのように無理がない。

 また、この本が世に出るきっかけを作ってくれたのは、さんざんこのブログに「癒しキャラ」として登場する高久和男氏。彼が経営する学校法人がこの本を出版することになったのである。

 この本がきっかけで、こういう「本物の生き方」をしてみたいという人がたくさん現れることを祈念して……。

(110110 第221回 写真は西原金蔵氏の店〈サロン・ド・テ・オ・グルニエ・ドール〉の中庭。町屋を改装した、じつにお洒落な空間である)

 

 

 

 

 

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