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自分が好きなことを見つけて無我夢中で取り組み、ひとつずつ目標をクリアする。そうやって愉しみながら、自分という人間をぶ厚くしていく……。今がベストで、未来には未知の楽しみがある。これが、多樂の本質である、と『多樂スパイラル』のまえがきで書いたが、その原理原則は今も変わっていない。

日々の生活のなかで、森羅万象に潜む多樂をいかに味わうか。心に映りゆくよしなごとを書き留めておこう。それが読者の方々にとって、なんらかのスパイスになればとの願いもこめて…。

 

Blog TarakuSpice

日本史の生き証人

2010.05.02

 とうとう憧れのご老体に会えた。

 御歳約1500歳。大化改新以前から日本の来し方を見守ってきた老師である。

 岐阜県本巣市にある淡墨桜は、福島県三春の瀧桜、山梨県の山高神代桜と並び、日本三大桜と称される。

 今までに瀧桜と神代桜には会ったが、根尾谷の淡墨桜に会う機会を逃し続けてきた。この時期になって、ようやく念願が叶ったのも何か意味があるのだろう。

 

 どうですか、このごっつい幹周り。精強な筋肉が瘤になったような、たくましい、そして厳かな勇姿。幹周りはなんと10メートル近い。

 花のピークを過ぎているばかりか、悪天候にもかかわらず、じつに多くの面会人の姿があった。皆、一目会いたくて、わざわざ足を運んだのだろう。周囲には柵が設けられ、間近で会うことはかなわなかったが、むしろ遠巻きにその姿を拝む方がいいと思った。なんといっても、相手は日本史の生き証人なのだ。

 じつに気高い姿だった。気が遠くなるような齢を重ねた老体にむち打って、淡墨の花を咲かせている。

 

 帰り道、二両編成の樽見電鉄に乗って、あのご老体の命について考えた。なぜ、あれほど長きにわたって命を永らえることができたのだろうか。

 偶然の結果ではないことはわかる。なりゆきで1500年以上も生きられるわけがない。

 生きたいと思ったにちがいない。日本の行く末を、国土の真ん中から見守り続けたかったにちがいない。

 素晴らしい一期一会だった。おそらく、今後あのご老体と再会することはないだろう。

 しかし、あれほど強烈な印象を瞼に焼き付けられたのだ。

 じゅうぶんである。

(100502 第165 写真は淡墨桜の幹)

 

 

 

 

 

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