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紺碧の将

『恋するマーヤ』と『海流の旅人』

2012.10.29

 フーガブックス(コンパス・ポイントの出版事業)で2冊のエッセイ集を刊行した。ひとつは藤原万耶著『恋するマーヤ』、もうひとつは林檸檬著『海流の旅人』。いずれも以前弊社で発行していた『fooga』に連載されていた文章をブラッシュしてまとめたものだ。

 藤原万耶さんは知る人ぞ知る、見川鯛山センセイ(故)の愛娘。父親譲りというか、父親勝りというか、とにかく文章はクロートはだしである。小気味よい文章というのはこういう文章をいう。視点もオモシロイ。シニカルなのだが、妙に人肌の温度。紙面から著者のぬくもりが伝わってきそうである。

 少部数の印刷だったので、すでに売り切れ。弊社に力があれば増刷するのだが、当面その予定はないので注文に応えられないのが残念。

 もうひとつの本は『海流の旅人』。林檸檬さんはもちろん、ペンネーム。本名は木曽康子さんとおっしゃる。どちらかといえば連載時は脇役という存在だったが、こうして一冊にまとめてみると俄然印象が変わってくるからビックリ。文章は、どういうシチュエーションで生かされるのか、それぞれにタイプがあるということがわかった。

 以前、作家の内海隆一郎氏に師事していたというくらいだから、文章はかなりこなれている。なにより、実生活を愉しく豊かにおくっておられる方なので、「書きたいこと」」が山ほどありそうだ。編集の際、丹念に通読したが、この生活情景点描にすっかり魅了された。いい人生をおくっているなあ、と。案外、女性版「多樂」かも。

 それから、右上の写真に着目。表紙の挿画はなんと、日本美術院の俊英ともいえる那波多目功一画伯の作品である。でもって、よせがきはかつての師・内海隆一郎氏。

 なんて贅沢なことだろう。それでもイヤミになっていないところがいい。

 こうしてみると、『fooga』連載の原稿は、海底資源のようなものかも。8年続けたということは、こういう結果を生み出すことにもなるということにあらためて気づいたのだった。

 『海流の旅人』のご注文は、https://www.compass-point.jp/book/

(20121029 第377回)

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