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自分が好きなことを見つけて無我夢中で取り組み、ひとつずつ目標をクリアする。そうやって愉しみながら、自分という人間をぶ厚くしていく……。今がベストで、未来には未知の楽しみがある。これが、多樂の本質である、と『多樂スパイラル』のまえがきで書いたが、その原理原則は今も変わっていない。

日々の生活のなかで、森羅万象に潜む多樂をいかに味わうか。心に映りゆくよしなごとを書き留めておこう。それが読者の方々にとって、なんらかのスパイスになればとの願いもこめて…。

 

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松江城のシブ〜イ魅力

2009.12.08

 出雲大社へ行った後、2両編成の一畑電鉄に乗ってトコトコと松江に戻り、その足で松江城へ行った。

 以前は国宝だったが、どういうわけか重要文化財に格下げになっている。誰がそういう評価を決めるのだろう。わからん。わかるのは、そんな評価とは無関係に、「いいものはいい!」ということだ。

 では、どこがいいのか?

 適当に寂れ、歴史の重みが空気に沈殿しているところだ。それを「大人の雰囲気」と言い換えてもいい。だいたいヨーロッパの街並みはこんな雰囲気だと思う。

 だから、街は賑やかな方がいい、という価値観の人が松江に行ってもつまらないかもしれない。なにしろ、駅の近辺には「シングルで1泊3800円」という大きな看板を掲げた安ホテルくらいしか目につかない。ちなみに、松江からさほど遠くない米子駅(鳥取県)の駅前には「夕・朝食付き、温泉付きでシングル1泊2890円」という看板を掲げたホテルがあった。とにかく山陰のホテルは破格に安い。

 

 松江城の話であった。

 以前書いた姫路城と比べれば、煌びやかさ、華やかさに欠ける。訪れている人も圧倒的に少ない。

 しかし、いい。文学的な佇まいを醸し出している。姫路城は文句のつけようがないが、松江城は文句のつけようがあってもいい。

 外観は黒い雨覆板が特徴的だ。黒い外観と言えば、すぐに松本城を思い出すが、徳川家康の孫にあたる松平直政が松本から移封されたことと何か関係があるのだろうか。

 ところで、この松江城も消滅の憂き目に遭っている。明治のはじめ、壊される運命にあったが、地元の豪農・勝部本右衛門や旧藩士・高城権八らの運動によって破壊を免れた。そういうところも松本城に似ている。

 

 夕方、松江城の周りにめぐらされている堀川をコタツ船に乗って巡った。なんとものどかな風情だった。同じ船内には、ズボンを悔しいほどにずりおろし、これでもか! とパンツを見せびらかしている若者のグループの姿があったが、見た目のだらしなさとは裏腹に、皆真面目な青年だった。船から見える風景に興味津々の様子だった。

 しかし、もともと短い脚なのに、なぜあんなことをするのか私には理解できない。あの履き方は、足の長い黒人がやって似合うスタイルなのだ。まさに「猿マネ」。

 しかし、若者とはそういうものなのだろう。私も若い頃は奇抜なことに興味があった。ローリング・ストーンズにイカレていたし、アメリカン・ニューシネマやイギリスの作家・シリトーにシビレていた。そして、今でも70年代のストーンズ(厳密に言えば60年代後半から80年代初頭まで。『レット・イット・ブリード』から『エモーショナル・レスキュー』まで)は大好きである。何度聴いても飽きるということがない。

 松江の話題から大胆にはずれてしまったが、そういうことである。

(091208 第132回 写真は松江城天守閣)

 

 

 

 

 

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