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紺碧の将

最終年度の『Japanist』

2018.04.23

 2009年に創刊した『Japanist』は、来年1月発行の第40号をもって発行を終了することとした。今回紹介する最新号(第37号)を除けば、あと3回。私の50代をほぼ費やしたといえる。長い10年間であった。

 40号でピリオドを打とうと決意したのは、今年の元旦。9時頃だった。いきなり、そう思ったのだ。いつ止めようかと真剣に考えていたわけではない(漠然とはあったが)。ほんとうに突如のひらめきだった。いきなり、なにかの指示が降りてくるのは、ときどきあることだ。そして、それに従って失敗したことはない。失敗するのは、作為的に、時間をかけて始めたものだ。

 このご時世、この手の雑誌を10年間続けてきたことに、まずは納得している。ずっと無報酬だったことも誇りに思える。

 

 本日、最新号が仕上がった。

 表紙は紙造形作家の小林和史氏の作品。本文を見ると、もっと驚くと思うが、紙を切り、立体にし、着色して本物そっくりの虫に仕上げる。あたかも、薄っぺらな紙から生まれてきたかのように。小林さんが創った原寸大のハエをカマキリが食べて、ぺっと吐き出したという逸話があるくらい精緻である。「なんだ、紙だったのか」と思ったかどうかわからないが、とんだ食わせ物だったとわかったカマキリの身になって考えると笑える。

 以前も小欄で書いたが、小林さんは幼い頃から小児喘息で苦しんだ。その合間、自然に導かれるように始めたのが、紙を使って虫を創るということだった。そう、それは祈りでもあったのだ。本文では、それらのことが細やかに表現されている。

 巻頭対談は、関家具代表・関文彦氏に登場していただいた。福岡県大川市といえば、家具の産地。そこを拠点に、海外にまで事業を広げている。アトリエMOKUBAという原木を使った一点物の家具を売っている店を知っている人もいるだろう(表参道や新宿、横浜にもある)。

 関氏は76歳。毎朝、逆立ちをして歩き、片手腕立て伏せや片脚スクワットなどをこなす。120歳まで経営をするというのだから、驚くばかり。それがただのホラ話に聞こえないところがスゴイ。記事のタイトルは「棺桶に両足をつっこむ寸前まで、火の玉のように生きたい」。なんとも強烈な〝お手本〟である。前々回の小欄でパティシエ西原金蔵さんの選択を紹介したように、これからの人生モデルは想像もつかないほど多様化するということだろう。

 今号は自分で言うのもナンだが、いままでで最もバランスが良く、質が高いと自負している。これなら雑誌ではなく書籍だと胸を張れる。

 お求めは、

https://www.compass-point.jp/japanist/

 

※悩めるニンゲンたちに、名ネコ・うーにゃん先生が禅の手ほどきをする「うーにゃん先生流マインドフルネス」、連載中。今回は「〝みんな同じ〟が平等ではない」。

https://qiwacocoro.xsrv.jp/archives/category/%E9%80%A3%E8%BC%89/zengo

(180423 第806回 写真下は小林和史氏の『雨―U/Misty Rain』)

 

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