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紺碧の将

アメリカで救急車を頼んだら……

2018.03.30

 ニューヨーク在住の友人が久しぶりに帰国し、いっしょに酒を飲んだ。

 数ヶ月前、彼は酒を飲んでいる時、昏倒し、救急車で運ばれたという。倒れた拍子に頭を打ったため、MRI検査を受けたが、異常はなかったらしい。とまあ、そこまではいいとして……。

「そのあと、請求書が届いたのですが、いくらくらいだと思います?」

「そうですね。アメリカで病院にかかると高くつくと聞いていますから、数十万円というところでしょうか」

 答えは、なんと220万円! 160万円ほどが救急車の出動代で、他は診察代、検査代だという。入院もしていないのにこの金額である。アメリカ人の友人にその話をしても、「ふむふむ、それはそうだろうね」と誰も驚かないという。

 われわれ日本人の常識からすれば、途方もない金額といえる。なにしろ、わが国ではタクシー代わりに使う輩もいるくらいだ。救急車はタダという〝常識〟が広く根づいている。

 アメリカに住むのは大変だ、と思った。オバマケアも頓挫したし、と。しかし、じっくり考えてみると、どうやらおかしいのは日本の方かもしれない。

 

 救急車を出動させるには、多大なコストがかかる。それを行政が無償で提供するというのは、どう考えてもおかしい。なぜなら、お金が天から降ってくるわけではないのだから、誰かがそのツケを払うことになる。

 では、誰が払ってくれる? 前述したように、日本国民は「救急車はダタ」だと思っている。払っていないからそう思っているのだ。

 そう、われわれの次の世代にツケを回しているのだ。

 そう考えると、アメリカの方がまともだということがわかる。次の世代に回したくない、あるいは自分たちで保険料を支払うのが嫌だ、そういう理由で現行の制度になっているのだろう。

 救急車に限らず、日本の行政サービスは過剰だ。過剰サービスがいつしか当たり前になり、だれもありがたいと思わなくなっている。きわめて安価でかかれるから、ちょっと体調がおかしくなったくらいで病院へ行く。本来なら、自分の体を管理する義務があるはずだが、あまり負担しないで済むから安易に病院へ行く。そして、検査漬け、薬漬けになる。その結果が年間40兆円以上の国民医療費だ。

 私は、日本の健康保険制度は、「助け合い」のレベルを大幅に超えていると思っている。健康に留意していない人の後始末を、みんなでしているのだ。現行制度は自己負担が3割、保健が7割負担だが、その逆、自己負担7割、保健負担3割あたりが妥当ではないか。そうなれば、茶飲み友だちと会うために行くような感覚で医療機関を利用する人も減るだろう。もちろん、身障者など社会的弱者に対する救済措置は必要だろうが……。

「いつまでもあると思うな、過剰な行政サービス」

 救急車を呼んだら、自動的に30万円の請求が来るというくらいにしなきゃ、次世代の納税者を食い物にする人があとを絶たないだろう。

 

 本ブログ800回記念は、辛口の内容になってしまった。

 次回から、もう少し楽しい話題にしよう。

 

※悩めるニンゲンたちに、名ネコ・うーにゃん先生が禅の手ほどきをする「うーにゃん先生流マインドフルネス」、連載中。今回は「〝みんな同じ〟が平等ではない」。

https://qiwacocoro.xsrv.jp/archives/category/%E9%80%A3%E8%BC%89/zengo

(180330 第800回)

 

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