多樂スパイス
HOME > Chinoma > ブログ【多樂スパイス】 > 民主主義が歪められている

ADVERTISING

紺碧の将

民主主義が歪められている

2017.08.04

 第3次安倍内閣が発足した。マスコミにレッテルを貼られる前に、自ら「仕事人内閣」とキャッチフレーズをつけたのは賢明だと思う。

 それにしても腑に落ちない。内閣改造に関する話をする前に、安倍総理は国民に対して深々と謝罪したのだから。

 いったい、安倍総理はどんな悪いことをしたのか? 悪いことをしていないのに、頭を下げるのは理不尽である。普通のまともな国民は、べつに安倍総理から謝ってほしいとは思っていない。「よくわからずワーワー騒ぐだけの人」が総理の陳謝を求めているのだろう。謝罪する姿を見て、「民主主義の根本を歪めている」と危機感を覚えた。

 構図はわかっている。憲法改正を阻止したい勢力が、重箱の隅を突くように些細な問題を針小棒大に騒ぎ立て、メディアを利用して国民を煽った結果、安倍内閣の支持率が急減した。

 国民主権という原則がある。全国民が政治に参加することは不可能だから、選挙によって他の人に政治運営を委託する。だからこそ、「代議士」と呼ばれる。そこのところを国民は認識する必要がある。本来は、自分がやらなければいけないことなのだ、と。

 もちろん、だからといって、代議士が偉いのではなく、したい放題していいということではない。ただ、国民と代議士の間には適度な信頼関係が必要だということ。政治家だというだけでボロクソ批判していいわけではない。

 権力が暴走するのをチェックするため、メディアという公器がある。

 しかし、現状はどうか? 「日本にとって、なにが望ましいのか?」という大局観に立った報道より、ただ目先の政権いじめによって騒ぎを大きくすることしか考えていないと私には映る。テレビも新聞も週刊誌も同じ。ある意味、現状は民主主義ではなく、「メディア主義」ともいえる。自民党の二階幹事長がメディア批判をしているが、実にその通りだ。メディアは魔女狩りをして、視聴率を稼いでいるに過ぎない。

「安倍総理はきちんと説明していない」と言う人がいるが、「では、あなたは今行われている政治を理解しようとしているか?」と訊きたい。ただ、メディアで報じられていることを鵜呑みにして、ワーワー騒ぐだけなら誰でもできる。60年安保の時と同じではないか。

 安倍総理が地球儀外交を通じて、世界の首脳と深い信頼関係を築いたことは、歴代の総理と比べても突出した成果である。それによって国民は多くの恩恵に与っている。総理が替われば、また一から信頼関係の構築が必要だ。時にはそういうこともいいのだろうが、短期間に総理の顔が変わったことによって不利益を被ったことをわれわれ日本国民は忘れてしまったのか?(あるいは、なにも考えていないか?)。

 まともな国民なら、安倍総理に謝罪など要求しない。「よくわからずワーワー騒ぐだけの人」があまりにも力を持っている現状は、まさに民主主義の危機だ。

 安倍総理にはもっと堂々としてもらいたい。身を賭して、あれだけの大仕事をしているのだから。

 

 昭和25年、議会で「貧乏人は麦を食え」と言ったと批判された池田勇人は、実際、そんな言葉は使っていない。

「戦前は、米100に対して麦64パーセントぐらいで食べていたが、今は米100に対して、小麦95、大麦85という割合になっている。それでなんとか均衡がとれている。今の日本は田も疲弊し、牛馬も疲労している。どうしたって生産が間に合わなくて米が足りない。そこで私は、所得に応じて、所得の少ない人は麦を多く食う、所得の多い人は米を食うという経済の原則に沿ったほうへ日本をもっていきたい」(『昭和史』半藤一利 平凡社)より

 正論以外のなにものでもない。しかし、当時のマスコミは「貧乏人は麦を食え」と意訳して報道した。当時からマスコミは大げさに書き立てる傾向がある。戦前だって戦争を煽ったのは朝日新聞だ。

 いろいろ批判されても池田総理(当時)は、ひるまなかった。

「貧乏人は麦を食えというのが悪かったら、汽車の一等、二等、三等もやめたらどうだ」と反論したというのだから立派なものだ。当時は国鉄の労組に「ワーワー騒ぐだけの人」が多かったが、自分たちは所得に応じた席を設けているのに、おかしいではないかと皮肉ったのであろう。

 安倍さんも、ここらでガツンと言ってほしい。

 それにしても不自由な世の中になったものだ。情報技術の進歩によって、公人私人問わず、あんなこともこんなことも白日の下にさらされることになった。こういう時代に政治家を志すだけで、偉いと思う。

(170804 第741回)

ADVERTISING

Recommend

記事一覧へ
Recommend Contents
このページのトップへ