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紺碧の将

2016年はいい意味での「陰の年」

2016.12.30

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 今年はひとことで言えば、いい意味での「陰の年」だった。
 朝がきて夜がくるように、四季が巡るように、あるいは好調と不調の波があるように、森羅万象は陰陽の繰り返しだ。ずっと陽ということも、ずっと陰ということもない。松下幸之助が「好況よし、不況さらによし」と言ったが、けだし名言であろう。好況の時には気づかないことを、不況の時に気づかせてくれることはよくある。
 では、なぜ、いい意味での陰の年だったか。ひとつは、自分の肉体の限界を知ったこと。10キロ走で40分を切ることを目標にハードな練習を続けたが、1月の大会で夢破れた。考えてみれば、20年前でさえ40分12秒だったのだ。あれから体力は衰え、髭に白いものが混じり、髪の毛の量も明らかに減っている。着々と老化は進んでいるのだ。それを無視して無謀な目標をたてたが、神様はそうそう願いを叶えてくれるとは限らない。
 しかし、「自分の体力は衰えている」という自覚は、さまざまなプラスの効果をもたらすはずだ。事実、100歳まで生きるとして、あと40数年、どのように生きればいいのか、あれこれと考えるようになった。
 2017年はわが社の30周年イヤーだが、経営の苦しみも味わった。  
 そのわりにはいつもと同じだった、だって?
 そう。ふだんは数字のことなど、ほとんど忘れているから、「見た目」はいつもと変わらなかったはずだ。
 設立されて10年残る会社は4%くらいだと聞いたことがある。その4%がさらに10年残るのは、これまた4%くらい。ということは、100社できても、20年残るのは1社もないということ。これは自然界の生き残りの確率よりまだマシというもので、とくだん不思議な現象ではない。
 もうひとつ、「企業30年説」というものがある。どんな優れた会社も30年も経てば、いろいろな面で綻びが生じ、内部崩壊に至ると。その壁を乗り越えた会社だけが長寿企業へとなっていくのだ。
 なぜ30年かと言えば、バブルが約30年ごとに発生するのと同じ理屈なのだと思う。30年で世代交代がなされるのだ。ということは、それまでの成功モデルは通用しなくなる。その時代の変革に対応できない会社や組織は滅びるということなのだ。
 事実、わが社も30年目の苦しみを味わった。
 私は典型的な現場人間なので数字を追いかける時間は虫メガネで見るくらい少ない。それが功を奏したのかもしれない。変えるべきところは変え、変えざるべきところは変えない。いわゆる不易流行。このポイントがわかったような気がする。
 もともと流行が嫌いな人間が広告業界で事業を起こし、典型的な斜陽産業である出版に手を染めている。まして『Japanist』という、商業主義のかけらもない媒体を発行し続けている。楽なはずがないのだ。でも、これこそが自分の道だと思っている。

 

 なんのかんの言っても、国宝級の樹木たちを身近に感じながら暮らせる生活環境は、恵まれている。場所を選べば、東京はスゴイところだ。日々、大きな力を与えてもらい、それを取り込むことによって集中力を持続させることができる。
 大晦日は恒例、明治神宮を訪れ、一年の無事に感謝を捧げる。
(161230 第689回 写真は新宿御苑のラクウショウ:右と「生きる化石」とも呼ばれるメタセコイヤ:左上)

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