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自分が好きなことを見つけて無我夢中で取り組み、ひとつずつ目標をクリアする。そうやって愉しみながら、自分という人間をぶ厚くしていく……。今がベストで、未来には未知の楽しみがある。これが、多樂の本質である、と『多樂スパイラル』のまえがきで書いたが、その原理原則は今も変わっていない。

日々の生活のなかで、森羅万象に潜む多樂をいかに味わうか。心に映りゆくよしなごとを書き留めておこう。それが読者の方々にとって、なんらかのスパイスになればとの願いもこめて…。

 

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アフリカ音楽のしなやかな強さ

2016.11.22

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 ワールドミュージックに魅了されるきっかけになったのは、ボブ・マーリィだ。一説によるとボブ・マーリィが有名になったのは、エリック・クラプトンが「I Shot The Sheriff」をヒットさせてからだとされている。ほんの少し前にポール・サイモンがレゲエのリズムを取り入れて「Mothe And Child Reunion」を発表した頃は、レゲエではなくレガエと発音されていたのだから、たしかにその説は信憑性がある。
 ボブ・マーリィは今でも私にとって、とんでもないアーティストだが、ワールドミュージックといえば、アフリカものだと思っている。ロックやジャズをさんざん聴き、クラシックを深掘りするのと同時に、アフリカの音楽にのめり込んでいった。
 きっかけは、ピーター・ガブリエルの「In Your Eyes」だ。エンディングの途中で、なにやら獣の咆吼のような声が湧き上がってきて、フェイドアウトするのだが、あの数十秒で世界のロックファンが度肝を抜かれた。もちろん、私もそうである。「な、なんだ? こいつは!」と。
 それがセネガルのユッスー・ンドゥール(右上)である。名前のはじめに「ン=N」がつくというのも印象的だった。
 その後、ユッスーは「Nelson Mandela」で世界デビューする。
 しなやかで強靱でリズミカルで……。東洋人にも西洋人にもない、新鮮な衝撃だった。それ以前にも、アレサ・フランクリンなどR&Bのアーティストによって黒人の歌には魅了されていたが、アフリカ人の力量はさらに上をいっていた。
 やはり、ベースが違う。大草原で遠くまで届く声、声色によって情報を使い分ける、敵が来たら全速力で逃げる、五感を研ぎ澄ましあらかじめ危険を察知するなど、動物として備えていた能力をいかんなく発揮し、それを独特の音楽スタイルに昇華させているのだから、すごくないはずがない。
https://www.youtube.com/watch?v=kWU5AOU7ZxA&index=1&list=PLpM0rIgR6BUpcq9LkxKRkVRjow-XHYPTW

 

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 アビブはなんといってもアコースティックギターとヴォーカルのからみがいい。歌い方は、どこか哀愁を帯びている。その淵源は、虐げられてきた自分たちの過酷な歴史だろう。
https://www.youtube.com/watch?v=Cj1Rqvrmd9c

 

 同じくマリ出身のサリフ・ケイタも好きだ。声もリズムも鋼(はがね)のように強靱だ。
https://www.youtube.com/watch?v=2BE4eiWLgnA

 

 ロックもジャズもワールドミュージックも、そしてクラシックも浴びるように聴いてきた。ローリング・ストーンズの70年代の約10枚は、それぞれ数千回は聴いたと思う。それでも飽きない。現代にまで残っているクラシック音楽は、人類共通の財産だとさえ思っている。
 そんな私にとって未開拓の分野は何だろう。おそらく日本の音楽なのだと思う。とはいっても、Jポップというのはありえない。死ぬ少し前に、演歌が好きになるかもしれない。そういう気がする。
 以前、船村徹氏を取材した時、「美空ひばり、船村徹の世界を歌う」という4枚組のCDをいただいた。それを聴くと、たしかに本物だと思った。たびたび聴いているわけではないが、地中に埋められている黄金だという気がする。
(161122 第681回)

 

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