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自分が好きなことを見つけて無我夢中で取り組み、ひとつずつ目標をクリアする。そうやって愉しみながら、自分という人間をぶ厚くしていく……。今がベストで、未来には未知の楽しみがある。これが、多樂の本質である、と『多樂スパイラル』のまえがきで書いたが、その原理原則は今も変わっていない。

日々の生活のなかで、森羅万象に潜む多樂をいかに味わうか。心に映りゆくよしなごとを書き留めておこう。それが読者の方々にとって、なんらかのスパイスになればとの願いもこめて…。

 

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「トトロの樹」を生かした勇気

2016.10.21

%e3%83%88%e3%83%88%e3%83%ad%e3%81%ae%e6%9c%a8 前回と同じテーマ。

 杉並区西荻窪に「トトロの樹」と呼ばれる大木がある。樹齢90年ほどのケヤキの木で、高さ約19メートル。住宅街の一角に聳えている。JR中央線の車内からも見える。堂々とした風格だ。
 この木が伐採の危機に見舞われた。2008年のことだ。この土地の所有者が建設会社に土地を売却し、そこにマンションが建つ計画が持ち上がった(よくある話だ)。それを知った住民たちが署名活動を始め、約9000人の署名を集め、杉並区長に提出した。
 当時の杉並区長は「もちろん」、あの山田宏氏だ。区は、というか、山田さんはそれを受けて約4億円で土地を取得し、ケヤキを残すことにした。今、その一角は「坂の上のけやきの公園」として整備され、住民の憩いの場となっている。
 さて、ここで想像力が必要だ。計画通り、木が伐採されてマンションが建った姿と現在の姿のどちらがいいか。答えは決まっている。そういうバカげたことをさせないためにも住民の高い意識と行動力は必要なのである。
%e5%9d%82%e3%81%ae%e4%b8%8a%e3%81%ae%e3%81%91%e3%82%84%e3%81%8d%e5%85%ac%e5%9c%92 私が宇都宮に住んでいた頃、市のシンボルでもある二荒山神社の前に高層マンションが建つ計画が持ち上がり、反対運動に加わったことがある。当時発行していた『fooga』という雑誌でも毎回取り上げた。しかし、その動きはほとんど支持されず、計画通り、なんの変哲もない、殺風景なマンションが建ってしまった。あの計画を遂行した土建業者や議員らはともかく、地元住民もほとんど反対運動に興味を示さなかったのが今でも不思議である。
 今、その場所はチグハグな風景となっている。歴史的な神社に高層マンションの影が降りているのだ。後世の物笑いになるだろう。
 それに比べ、トトロの樹よ、君はなんと運が良かったことか。
(161021 第673回 写真上はトトロの樹。下はプレート)

 

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