多樂スパイス
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自分が好きなことを見つけて無我夢中で取り組み、ひとつずつ目標をクリアする。そうやって愉しみながら、自分という人間をぶ厚くしていく……。今がベストで、未来には未知の楽しみがある。これが、多樂の本質である、と『多樂スパイラル』のまえがきで書いたが、その原理原則は今も変わっていない。

日々の生活のなかで、森羅万象に潜む多樂をいかに味わうか。心に映りゆくよしなごとを書き留めておこう。それが読者の方々にとって、なんらかのスパイスになればとの願いもこめて…。

 

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月山にて我思ふ

2016.09.08

月山への道 悪天候のため、登頂を断念した昨年の雪辱を果たした。出羽三山のひとつ、月山である。

 ずっと、天気予報は雨だったが、台風が過ぎ去った後、天気図が変わり、当日は快晴となった。とはいえ、登る途中は右写真のように分厚い雲に覆われることもあった。下山途中から強い雨に見舞われもした。しかし、そういった、めまぐるしく移り変わる天候もまた心地よい。
 それにしても、月山は登りがいのない山だった(笑)。修験者が登る道を行けば、それなりに厳しいのだろうが、通常の登山ルートはハイキングコースに毛が生えた程度である。
 往復約5時間。万華鏡のように千変万化する空模様を楽しみながら歩いた。こういう時間が浮き世の垢を落としてくれる。「さあ、いっちょう仕事やったるか!」と思いを新たにしてくれる。

 日常のルーティンが大切というのは、いやというほど思い知っているつもりだ。コツコツと努力を重ねること以外、上達の道はない。スポーツでも芸術でも職人芸でも会社経営でも、なんでもそうだ。しかし、毎日毎日同じことをしていればいいかといえば、そうではないような気がする。ハレとケの「ケ」ばかりではいけない。工夫をして、「ハレ」の時間もつくることも大切だ。おそらく全国いたるところにある祭りは、そういう意味があるのだろう。
月山神社 例えば、自宅と会社の往復だけで一年を過ごすとしたら、その人の感性はすでに干上がっているはずだ。慣れ親しんだ行動パターンに安住すれば、人間は鈍化する。
 しかし、どのようにハレの時間をつくるのか、それを教えてくれる人はいないし、そもそも自分で考えなければ面白くない。
 ひとことで言えば、「好奇心」だろう。好奇心を失ったら、その人は年齢にかかわらず、すでに老人だ。心が渇き、遠からず体も乾くにちがいない。
 人間関係も日常生活も、「馴れ合い」こそ魔物と心得よう。
(160908 第663回 写真上は月山へ登る途中。下は頂上にある月山神社)

 

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